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新しい繋がり(再録)

レイチちゃんとこの手塚夢主さん、橙子ちゃんと優衣が出会うお話。
このふたりは絶対に手塚を通して知り合うんだと思ってました。



「あれ、国光くん!」
「優衣?」

部活のない放課後、優衣は母に言い渡されたお使いで、自転車を扱いで少し遠出していた。
その帰り、手塚と女の子の姿を目撃したのだった。
そういえば青学はこの近くだったな、と思い出しながら声をかけると、彼は不思議そうに返した。

「こんな所までお使いか?」
「うん、この近くのスーパーでお肉の特売やっててさ。うちの近くのスーパーより安かったから、行ってこいって」
「さすがだな、おばさん」

はは、と優衣は苦笑う。
そんな中、手塚の隣にいた女の子が目を輝かせ、バシバシと手塚を叩いた。

「ねぇねぇ手塚」
「何だ、神崎」

手塚は少し迷惑そうに、顔を顰める。

「この子、手塚の知り合い?」
「ああ、紹介していなかったな。幼馴染の優衣だ」
「あ、どうもっ、春日優衣です。えっと、国光くんのお友達?」
「その……彼女だ」

目を逸らし、どことなく照れくさそうに答える手塚に、優衣は驚き目を丸めた。

「えっ!?」
「あ、私、神崎橙子! よろしくね、えっと……優衣ちゃんでいいかな!?」

橙子の方もさすがにストレートに断言されると恥ずかしかったようで、ほんのり顔を赤らめながらも自己紹介をした。
そんな初々しい二人が可愛く見えて、優衣は思わず笑みを零した。

「うん! じゃあ、あたしも橙子ちゃんって呼んでもいい?」
「もちろん!」

優衣と橙子は嬉しくなって、笑い合った。
予想外な所で、ずっと欲しかった新しい女友達ができてしまった。
他校というのが惜しい。

「ところで、こんなところで立ち話なんてしてていいのか?」

手塚の指摘で、はっと大事なことを思い出した。
そう、今はお使いの途中。

「そうだった! 早く帰らなきゃお母さんに殺されるよ〜……それじゃあ国光くん、橙子ちゃん、またね!」
「ああ、気を付けろよ」
「またねー!」

相変わらずの心配性な手塚と、ブンブンと大きく手を振る橙子に見送られながら。
優衣は地面を蹴り、急いで自転車のペダルを扱いだ。
帰り道、終始口が緩みっぱなしだったのは、本人しか知らない。



「あ!」

優衣の姿が見えなくなってから、橙子は思い出したように大声を発した。

「どうした?」
「優衣ちゃんのアドレス聞くの忘れた……」

しゅん、と肩を落とす橙子の姿を横目で見た手塚は、小さく溜息を一つ。

「後で優衣から承諾を取って、俺が送ればいいだろう」
「さ、さすが幼馴染! やったー! 優衣ちゃんのアドレスー!」

今の今まで落ち込んでいたくせに、急激に元気になって喜ぶ橙子。
手塚はこっそり苦笑していた。
でも、大事な幼馴染と恋人が喜んで仲良くしてくれるなら、本望だと思った。



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