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愛する君のために(再録)
レイトン教授より、時間旅行のエンディング後。
ルイスは強い決意を抱くことになります。
ロンドンの街に並んでいた美しい外装の建物は、今はただの瓦礫の山でしかない。
人間の手では決して壊せないそれが粉々になっているのを見て、あの巨大兵器の破壊力を改めて思い知った。
醜悪で狂暴な感情からの産物。
それを作ったのは、かつては優しい少年だった彼。
どうしてこんなことになってしまったのだろう、とルイスは思い悩みながら崩壊したロンドンの街を歩いていた。
「クラウス……」
優しい少年にあんな凶行に及ばせたのは、イギリスの首相。
タイムマシンに関わっていた大人たち。
そして彼が苦しんでいる時に離れてしまった自分だ。
あの時、木に登りさえしなければ、落ちさえしなければ、防げたかもしれない。
もちろん、そうでなかった可能性もある。
しかし最善を尽くすことはできたのではないかと、後悔する。
(悔やんでいても仕方ないわね)
ルイスは決意の瞳で、皮肉なくらい爽やかな青空を見上げた。
クラウスのような子供を二度と見たくない。
そして、国家の反逆者として扱われた彼の帰る場所を作りたい。
強くて熱い望みを胸に抱いて、あの空に誓った。
(家を継いで、素敵な町を作ってみせる!)
まずは、手の届く範囲から。
そしてイギリス中に見せしめてやりたい。
ルイスがノエル家の令嬢として生きる決意をした瞬間だった。
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