05/11 ( 20:25 )
君だけに、愛の魔法を

トキヤさんと優衣で、背中ネタに続いて手ネタ。
正直、いちゃいちゃしてるだけ。



ふわり、と。
何気なくソファーの上に置いた右手を、自分のものより大きくしっかりした手が、大事に大事にと包み込む。
隣を見ると、自分と同じように腰かけている彼が、優しい微笑みを湛えていた。
とても美しくて、温かくて、絆されてしまう。

「優衣の手は小さいですね」

彼の視線の動きにつられて、繋がれた手を見下ろす。
確かに、自分の手は彼の手のひらによって、すっかり覆われてしまっている。

「トキヤくんの手が大きいんだよ」

自分の手に重ねられた綺麗でいて男らしい手に、もう片方の手を重ねてみる。
とてもじゃないが、覆いきれない。
こうしてみると改めて、相手は男、つまりは異性であるのだと実感する。
ちょっぴり、胸がきゅんと騒いだ。

「どうしました? ひょっとして、私を男として意識していただけましたか?」

不意に、悪戯に笑うトキヤの顔が間近に迫り、甘く囁かれて思わずどきりとした。
嗚呼、見透かされてしまっているなんて、恥ずかしい。

「や、それは、あのっ」
「隠さなくていいんですよ。まあ、照れ屋な君も可愛らしいのですが」

彼のもう片方の手が、そっと頬に触れる。
きっと、頬に帯びた異常な熱が伝わっていることだろう。
ますます恥ずかしい。
でも、彼の手のひらに撫でられて、心地好いのも本当だった。

「……トキヤくんの手は、魔法の手だね」
「え?」
「だって、トキヤくんに触られるとね、胸がどきどきしたり、安心したりするんだよ。とっても気持ちよくて、大好き。もっと触っててほしくなっちゃう」

やっぱり恥ずかしくて、はにかみながら。
そう伝えると、彼は一瞬、たじろぐような仕草をみせて、すぐにまた柔らかく、少し困ったような笑みを見せてくれた。

「まったく、君は……そういうのは、私の前だけにしてくださいね?」
「うん?」
「そして、それを言うなら君の手も同じですよ」

頬を撫でていた彼の手はそのまま肌を滑り、重なる手に下りた。
繊細な手付きで優衣の手を愛で、その手を取って、唇へ。
ぎょっとした時にはもう遅く、手の甲に軽やかな口づけを与えられて、擽ったかった。
同時に、顔の熱が急上昇した。

「君の手は時に私の心を昂らせ、時に癒してくれますから」

じんわりと、胸が熱くなる。
何だか嬉しくて堪らなくて、頬が緩んでしまう。

「じゃあ、これからもいっぱい癒してあげるね!」
「ええ。お返しに、たくさん触れてあげますからね」
「うん!」

今もこうして触れ合っている手は、優しい温もりを分け合っていた。



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