マシュマロをたっぷり浮かべたココアを飲んでいると、隣でとろとろ微睡んでいた彼が小さな声でわたしを呼んだ。 「ん、なに?」 「あまいにおいがする…」 寝起き特有のふわふわした声とふにゃりと崩れた笑顔がなんとも言えずにかわいらしくて、かるく眩暈を覚えながらも左手のカップを持ち直す。 「ココアだよ、赤也も飲む?」 「んー」 未だ残る眠気のせいかぐずぐずとソファの上で丸くなっている彼は、ふいにとろんとした瞳を開けてわたしを見つめると、にっこり笑った。 するりと伸びる腕が首にまわされて、ちゅ、と唇を舐められる。 「これでいい」 へへ、と悪戯に笑って、赤也の頭は膝の上へすとんと落ちる。 あとには穏やかな寝息と、まるで林檎みたいに真っ赤になったわたしの頬だけが取り残された。 シュガーベイビー |