「クリスマスねぇ」

爽やかな笑顔で混み合う街やイルミネーションの様子を紹介するアナウンサーをちらりと一瞥し、盛大に溜め息を吐いた。

「クリスマスをしっかり堪能するくせにお正月も大好きなんだよね、日本人て。ちゃんちゃら可笑しいわ」

「おいおい身も蓋もないこと言うなよ瑠璃ちゃん」

お前それでも女の子?とジャンプ合併号から顔を上げた銀ちゃんが眉をしかめる。

「世の中の女子すべてがイベント大好きな人種だと思ったら大間違いだよ」

寝心地のいいソファを独占している彼のお腹に制裁の意味を込めて頬杖をついてやれば、ぐええと情けない声が響いた。

「ちょ、なに、瑠璃、反抗期か?反抗期ですかこのやろー」

「わたしは、特別な日なんてなくても、銀ちゃんと一緒なら何だって嬉しいもん」

抗議の悲鳴を全部無視し、そのままぎゅうと銀ちゃんの腰にしがみつく。

言い慣れないことを言ったせいで耳まで真っ赤になっている気がする。

「…瑠璃、」

驚くほど優しい声で名前を呼ばれ、思わず目を上げると、蕩けそうに優しい顔をした銀ちゃんが見下ろしていた。

「お前のそういうところ、やっぱ好きだわ」

穏やかに慈しんでくれるその手が、クリスマスだろうがお正月だろうが、やっぱりわたしは年中無休で大好きなのだ。



あなたのその手で




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