ねぇ、リヴァイ、次に会う時は。

次に会う時は、当たり前に笑いあえる、幸せな明日のある世界で会いたいね。

ねぇリヴァイ。

大丈夫。

さよならするわけじゃないの。

ただちょっとの間、会えなくなるだけ。

だからお願い。

泣かないで。

大丈夫よ、リヴァイ。

冷たい指先が力を失い、掌からするりと零れ落ちていくのを掴んで留める。

何が大丈夫だ、ふざけるな。

そう怒鳴ってやりたかったのに、ひきつった喉からは情けないほど掠れた音しか出てこなかった。

澄んだ瞳が、緩やかに閉じられていく。

「ルリ、ルリっ…ルリ!」

ようやく喉を越えた声で、馬鹿みたいに何度も何度も名前を呼ぶことしか出来ない。

「ルリ!」

縋るように細い身体を掻き抱いた。

後ろから誰かに肩を掴まれたが、渾身の力で振り払う。

みっともなくても構わない。

それで彼女の命を繋ぎ止めておけるというならば。

「ルリ!」

小さな笑みを浮かべた唇が、ほとんど吐息のような声で囁いた。

大丈夫、きっとまた会えるから。

だから、少しだけ、お別れ。

「…またね、リヴァイ…」

――そうして。

やわらかな胸の奥から聞こえていた鼓動が、やがて音もなく消えて、その役割を終えた。

最期まで微笑んだまま。

まるで幸せな夢でも見ているように穏やかな表情で、彼女は眠りについた。

「…ルリ…」

触れた頬にはまだ確かな温もりが残っている。

握り締めていた細い指先を手離して、そっと唇を重ねた。

「…あぁ、そうだな…」

そうだ、彼女の言った通り。

これで終わりじゃない。

「またな…ルリ」

次に会う時は。

たとえそこがどんな世界であろうとも、必ず捕まえて、今度は二度と離さない。

ただ願わくは、彼女が望んだような明日の訪れる世界で出逢うことができるようにと。

祈りながら、静かに目を閉じた。


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