「土方さん…あつい…」

「あぁ、熱ィな」

ぐったりする瑠璃の長い髪をかき上げて、その真っ白な項に幾つ目かも分からない真っ赤な華を咲かせた。

「ひ、…っ…」

ビクリと体を震わせる初心な様子はやっぱりどうしようもなく可愛い。

「も、やめ…土方さ、」

半分涙目のまま、懇願するように着流しの袖を握りしめてくれたりするもんだから。

(おいおい…思いっきり逆効果だぞ…)

無意識って怖ェ。

微かに身じろぐ瑠璃の動きを難なく封じて抱きしめる腕に力を込めた。

「…意地悪…」

抵抗する気力もないのか、されるがまま。

苦笑しながら腕を解いて両手でその頬を包みこめば、潤んだ瞳が戸惑いながらも真っ直ぐに見上げてくる。

(…可愛い)

思わず笑みが零れて、林檎みたいに熟れた頬へ軽く口付ける。

「好きだ」

「……?」

唐突な言葉に彼女はきょとんと首を傾げた。

ついでゆるゆると大きな瞳が見開かれる。

長い睫毛が影を落とすその目尻にも唇を寄せて。

「愛してる」

最後に深く唇を重ねれば、やわらかな声がそっと、わたしもです、と答えてくれた。



灼熱セレナーデ


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