(君に出会えてよかった) (あなたの傍にいられてよかった)
君が(あなたが) いたから
俺は(私は) 笑ってられた
「寒い・・・。」
「寒いねー。」
とっても嫌そうなクロロの声が隣から聞こえた。あんまりにも脱力したような、ぶっきらぼうな「寒い」という言葉に思わず苦笑してしまう。
忘年会新年会、なんて言葉は私たちには似合わないかもしれないけれど、年末大晦日。私たちは大掃除も何も関心はないけれど、お酒が好きだ。だからノブナガやパク達に声をかけ、近くの町に集合できる人だけ集合し、お酒を飲みかわすという小さいけれど、荒れた宴会を開いた。
私たち数人で一体どれだけのビールや焼酎、ワインを消費したのかわからない。まぁ主に犯人はノブナガやウボォー、フランクリン、フィンたちなんだけれど。
大晦日を終え、年を越したというのにまだ大騒ぎをしている彼らをおいて、私とクロロは初日の出を見るためにベランダにいた。息を吐くと白く濃い息が出る。
日の出を待つ為に温めておいたココアがほんの数分でアイスココアに変わってしまったし、クロロもホットコーヒーがアイスコーヒーになったと若干不機嫌だ。
「そんなに寒いの嫌なら中にいれば良いのに。」
「嫌がる俺の腕を無理矢理ここまで引きずってきたのはナマエだろう。」
何言ってんだお前は殴るぞ、というクロロの視線に歯を見せて苦笑してしまった。ごめんごめん、と私は笑う。
せっかくクロロと一緒にいられるんだから初日の出をどうしても拝んでおきたいと思ったんだと伝えるとクロロは悪い気はしなかったようで、困ったように片眉を下げて冷めたコーヒーを口に含んだ。
「日の出まであとどれくらいだ?」
「んー、5分くらい。」
たぶん、と腕にした時計を確認しながら答えた。
最初はあまりノリ気じゃなかったクロロもここまできたら、やっぱりちゃんと日の出を見たいらしい。
「日の出なんて年明けにちゃんと見るのは何年ぶりだろうな。」
「見てなかったの?」
「毎年部屋で飲んで終わる。」
今のアイツらのように、とクロロは苦笑しながら下を指した。
ノブナガを始め、集まる事が出来たメンバー皆とさっきまで下の階でお酒を飲み交わしていたのだけれど、最初に言った通りまぁハンパない飲み方をしていた。
ビールの一気飲み対決は当たり前だし、途中からそれがウイスキー一気に変わっていた。酔い始めたノブナガとウボォーは上裸になってお酒を浴びていたし、シャルはそんな2人を指差して爆笑していたし、フェイはとっても眠そうにしていて、酔ったフィンが「起きろよテメェ」と絡んでいた。なんて面倒くさい。
女の子グループは楽しそうに上品にお酒を飲んでいたから悪酔いする事はなかったけれど、マチがちょっぴり危なかった。
とりあえず、飲み交わすなんて言い方は合わない。流し込むように?滝のように?まぁとりあえず凄い勢いで飲みまくっていたのだ。
「あんな飲み方して、よく急性アルコール中毒で死なないよね。」
「そんなんで死んでもらっても困るけどな。」
またクロロは困ったように、でも楽しそうに笑った。
最初に出会った頃はあまり笑ってくれなかったクロロも、この1年で大分笑いかけてくれるようになった気がする。
私自身もクロロと出会って笑顔が増えた。
「何笑ってるんだ。」
「ううん、なんでもない。」
私の笑みを変に思ったのかクロロは私に問い掛けながら私の手を握る。
私の返答にそうか、と短く返事をしながらクロロは遠くの景色へ視線を移した。
「そろそろだ。」
地平線が白み始めた。クロロの握ってくれている手が優しく強まる。
沢山の幸せなんて要らない。ただ今年もクロロの隣にいられるという小さく、でも私にとってはどんな数の幸せよりも大きな幸せ掴んでいられますように。
そう願うことは、私たちには許されないのかもしれないけれど。
願うことさえ許されないのなら、私はそれを自分で守ることに努めよう。その願いのために人を傷つけることを私は厭わない。
去年と今年は私の中でのこの気持ちは何1つ変わらない。きっとこれから先何度年を跨いでも、この気持ちは不変だ。
「何笑ってるんだ。」
「別に。このままでありますように、って思っただけ。」
問いかけてきたクロロにそういえば、彼は眉を少しだけ下げて「そうか」と返す。
クロロはきっと私の気持ちを誰よりも理解してくれているから、何も言わず理解をしてくれたんだろう。それがその距離がちょうどいい。
もうすぐ夜が明ける。
Things change, but not all
**** 実は依存しあってる感じの着かづ離れずなカップルを推奨する年にしたいと思います!2014年もよろしくお願いいたします!
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