「ただいまー。・・あれ、」
買い物を済ませて家に帰ると、ノーメイクで髪を下ろしたままのヒソカがソファーに体を預けて目を閉じていた。
腕は背もたれに乗っていて、座っているような、横になっているような、微妙な体制だった。
せっかくならちゃんと横になれば良いのに、と思いながら紙袋をダイニングテーブルの上に置く。
「ヒソカ?」
声をかけても返事は無い。眠ってるの・・・かな?
ヒソカの寝顔は久々に見た。
いつも寝る時は一緒だけど、必ず私が寝るまでヒソカは起きているし、朝目を覚ますと必ずヒソカは起きていて「おはよ」と微笑んでいるから。
それにしてもスッピンのヒソカはいつ見てもドキドキしてしまう。
いつもの意味のわからないメイクのギャップのせいなのか、それともただこの人にそういうフェロモンがあるのか・・。
・・・・どっちも含まれていると思うけど。
「(綺麗な寝顔・・・・)」
そう思うと自然にヒソカの顔に手が伸びて、頬に手を添えていた。
「積極的だね◆」
「っうわ!」
いきなり目を開いて笑うヒソカの声に体をビクッとさせた。
この人はいつもいつも全てがいきなりで読めなくて私を驚かせる。
「お、おはようございま・・・・!」
「そんなビックリしなくても良いのに◇」
そう言いながらヒソカはヒソカの頬に伸びていた私の腕を掴んで自分の胸に引き寄せる。
ヒソカの力にかなうはずも無くて、私はその力の思うままにヒソカの胸にダイブした。
「驚くなって方が無理だと思う。」
「そ◆?」
「うん。」
じゃあ離していただけませんか、と彼に言えば、ム・リ◇と笑顔で返された。
まだ買い物袋から冷蔵庫に入れないといけないものを移していないから、と言ってもヒソカはまるでいうことを聞いてくれる気がない。
「ヒソカの予定では私いつまでこのままなの?」
「とりあえず今日は何故か眠気が酷くてね。」
だからこのまま寝ちゃおうか、とヒソカは私の事をお姫様抱っこして立ち上がった。
「ちょ、ま!今まだお昼!あ、昼寝?」
「昼寝っていうか一日寝というか◆まあ黙ってボクの抱き枕になってくれれば良いよ」
ベッドルームにつくとヒソカは私を優しくベッドの上に寝転ばせる。
そして自分もベッドに横たわって再び私を抱きしめた。
「おやすみ、ナマエ◇」
「・・・・うん。」
今日の予定と買ってきた食材のことは諦めよう。
奇術師の休日
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