HH:5月 球技大会

今日は球技大会、と言う名の戦争です。



「オラアァァァァアッ!」

「そう簡単には抜かせないね!ヒソカ!」

「ハイハイ◇」

「っぶ!」

「馬鹿やろうフィンクス!お前絶好のチャンスでコケんなよ!」


フィンクスが雄叫びを上げながら左足を軸にして右足を後ろに高くあげ、シュートを決めようとした。

その目の前に敵チームのフェイタンが立ちはだかる。そしてフェイタンがヒソカに指示を出したかと思えば、ヒソカは右手で見えない何かをフィンクスの足元へ投げた。

そしてその次の瞬間、フィンクスは盛大にコケた。顔面は見事に地面にゴールイン。フィンクスと同じチームのウボォーは頭を抱えて、ありえねぇ!と叫んだ。



「ってっめぇ、ヒソカ!試合中にバンジーガム飛ばすとはどういう了見してんだ!」


顔面を押さえながらフィンクスは指の間からヒソカを睨む。

そんなフィンクスを見ながらヒソカは手の甲で口元を隠しながらクスクス心底おかしそうに笑った。



「だって念禁止なんて言われてないもん◇」

「スポーツで念使う時は自分の身体能力を上げるだけにしろ。それともあれか?念使わないと俺には勝てねぇ?」

「言ってくれるね・・・◆」


フィンクスとヒソカがお互いにオーラというやつを倍増させた気がした。前にノブナガが言ってたけどこれやばいやつだよね?一般人が直接喰らったらやばいってやつだよね?!比較的近くにいる私の体にビリビリとくるこの感覚。

やめてくれ、私という一般人が傍にいるんだから!私この威圧感で死んじゃうよ!



「大丈夫か?」


ふ、といきなり体が楽になり、視界が妨げられたと思ったら目の前にノブナガが現れた。

どうやら壁になって私に飛んでくるオーラを防いでくれたみたい。今初めてノブナガに対して感謝の気持ちが生まれた。



「ありがとう。」

「お前には、ちとキツいわな。」


白い歯を見せて笑うノブナガ。

ヒソカ達と同じクラスになってからというものの、あまり評判の良くないノブナガが標準に見えて仕方がない。ノブナガが標準なわけないと私は自分自身に何回も言い聞かせたけど、少しずつSクラスに慣れてきている私はもう手遅れ気味だった。



「っていうかサッカーで2対2は辛くねぇ?」


片手に持っていたボールでリフティングをしながらノブナガはヒソカ達の方を向いて不満をこぼした。



「なんだよノブナガ、弱音吐くのか?」


ウボォーの声に気づいたフィンクスが一度オーラをしまってこっちを睨む。



「ちげーよ。なんか雰囲気足りねーって言いたいだけだっつーの。」


わざと冗談混じりに突っかかってくるウボォーにノブナガは手を横に振る。


ちなみに本当はクラス対抗でやるはずなんだけど、一般クラスとやったら一般クラスの人間が危険だからという理由でSクラスの生徒だけで試合をしている。

しかも少ない上にシャルやコルトピやフランクリンやボレノフ、マチを筆頭に女性陣が今日休みだから2対2。

でもSクラスと言えど、ヒソカ達みたいに変な能力を使える人間ばかりがいるわけじゃない。私のような普通の人間もちゃんといる。

まあその普通の人間も人並みはずれた運動神経の持ち主ばかりだからあまり問題は無いんだけど(ついでに補足しておけばその人たちは今はバドミントン中。あっちも白熱してる)



「しかもチームプレイが俺達にはできねぇ。」

「確かにな。」


ノブナガの意見にウボォーが頬を掻いて同意する。

ノブナガは続けた。



「そこでだ。俺も参加したいし、チームじゃなくて、先にゴールを決めた奴が勝ちってのはどうだ?」


人差し指を立てて口元を上げると、今度はウボォーもフェイタンもフィンクスもヒソカも同意した。



「それが良いかもな。わかりやすいし、」

「誰が一番強いか証明できるね。」


フィンクスとフェイタンはニヤりと笑う。

その様子に満足したノブナガは私から離れてコートに入る。そして中心にボールを置いた。

みんなそこから3メートルほど下がる。



「念禁止、殴り合い禁止。勝った奴は・・・!」

「「「「負けた奴らに昼飯を奢らせる(ね)!」」」」



変なとこだけは気が合うらしい。

勝った者への賞品を皆で決めた瞬間、新たに試合は開始された。


まあ、とりあえず・・・・



球技大会、ってなんですか。

(あたしバドミントンやりにいこう・・・)


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