HH:10月 中間

「ザ・プレティー、ガール・・スタン、ド?イング、インザコー・・ネアー?・・・・ねー、シャル。これは何?」

「もう発音最悪だよ、発音以前の問題だけどね。何だよプレティーって、プリティーだよ馬鹿。他のも間違ってるし。」

「おいシャル!お前俺らの世話係りだろ!頑張れよ!」

「俺が頑張る以前にお前らが頑張れって話だよね、わかる?」



今は2学期中間テスト週間である。

普段なら即行帰って家で昼寝かゲーセンへ直行な私たちだが、今回は教室にとどまった。


もちろん、私たちというのはノブナガ、ウボォー、フィン、フェイ、私である。

それに加えて今回は珍しいことにSクラストップであるシャルがいた。



「クロロ先生が言ったこと覚えてる?」


シャルはため息をつきながら居残り組を見回した。

そう言われたノブナガは1つ咳払いをするとクロロ先生の声真似をする。



「いいか、お前ら今回のテストで赤点なんか取ってみろ。確実に卒業できなくなる。高得点を取れなんて言わない。言わないが全ての教科オール30点以上を取れ。29点以下は不可だ。いいな。」


あまりにも似ていなくてふいた。

フィンは机をバンバン叩きながら笑っている。ノブナガはクロロ先生の真似を継続させた。



「今回はお前ら教室に残って勉強しろ。シャルにお前らの先生役として残ってもらうように頼んでおいた。ちゃんと教わってそのスッカラカンな脳みそにテスト範囲を叩き込め。」

「これ以上ふざけるなら俺帰るけど?」

「あああ!ごめん、シャル!帰らないで!ほら、皆も謝ってよ!」


ノブナガの真似にイライラしたのか、立ち上がろうとするシャルの腰にへばりついて静止させる。私の必死さが伝わってくれたのかシャルはまたため息を1つ漏らして座ってくれた。



「まったく。この俺が残ってあげてるんだよ?誰の為にだと思う?」

「俺たち。」

「Exactly、ウボォー。」

「エグザクトリー・・・・?」

「まさにその通りって意味。」


覚えた?とシャルに頭を鷲掴みされて前後左右に振られた。

吐く吐く吐く吐く・・・・・!むしろ今まで覚えたやつ出る・・・・!



「にしてもよ、俺たちが赤点取らなかった事なんてあるか?」


私がシャルの頭鷲掴みの刑に処されている横で他人事のようにフィン達は話し続けた。

横目でほかのメンバーを見ると顎に手をやったり腕を前で組んだりしながら、うーんと首をかしげて悩む姿が見える。


「ないな。」

「同じく。」

「ワタシもね。」


フィンの問いかけにウボォー、ノブナガ、フェイが答える。

そう、赤点を取らなかった事など1回も無い。私だってそんな経験ない。そんなことがあったら泣きながらケーキを買いに行く。

1度でいいから赤点無し!とか言ってみたいよね、と言うとウボォーもそうだなと賛同してくれた。



「俺たちにレッドポイントを取るなって言うのが無理な話だってことがわかんねーのかね。」

「うっぷ・・・・。何、ノブナガ、レッドポイントって。」


まだ頭がぐらぐらする。だめだ、今まで必死に覚えたものがすべてミックスされて外に飛んで行ってしまったかもしれない。


ようやく離してもらえた頭に手をやりながらノブナガに問いかける。



「赤点。」

「・・・・ぶっ!」


何で英語にする必要があるんだ。

そう思った瞬間に笑いが込み上げてくる。くっだらないことなのに腹筋が割れそうだ。悔しい。


ひとしきり笑った所でシャルを見ると笑顔で怒っていたので急いでにやける顔を抑えた。



「あ、でシャル。さっきのザ・プレティーガールの文はどういう意味?」

「プリティーだって言ってんでしょ。隅に立っているかわいい女の子って書いてあったの。」

「へぇ!アタシじゃん!」

「鏡見てくれば。」

「ひどい!」



上手く話題を戻し、その上ボケをかましたのに見事に頭を小突かれた。

それが中々痛くて思わず手をやって擦る。



痛みが引くと共にシャルの方へ視線を戻した。

・・・・笑っている。怖いくらい笑っている。

黒板とかでよく使う指し棒がムチに見える。



「さぁ、その残念な脳みその準備は良い?」


俺が教えるからには100点とって貰うから。



テノールサウンドと共に死へのカウントダウンが始まった。




シャル先生はスパルタがお好き

(100点?!)
(馬っ鹿!取れたら苦労しねぇよ!)

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