HH:7月 恐怖の期末
机に伏せてる物体を見つけた。
「どうだった。」
テスト、と続けた。
体の大きさと机の場所からしてノブナガだとわかって声をかける。ゆっくりと顔を上げて、両手で拳を作って机に顔だけ伏せた。
「笑えねぇ・・・・、追試はいつだ。」
「決定事項なんだ。」
ふは、と眉を下げて笑ったら「笑い事じゃねぇ!」って怒られた。
ちなみに言うのが遅れたが、今日は恐怖の期末の内の1日である。
「お前はどうだったんだよ?あれだろ?お前馬鹿なんだろ?」
「し、失礼ね!ノブナガだってあたしとほとんど変わらないじゃん!」
「だってお前がSクラスに来たのは馬鹿過ぎが理由だって有名だぜ?」
「知らないよ!本当にそれが理由なの?!」
「しらねー。」
興味ねー、と続けて両手を頭の後ろに組んだ。
興味が無いなら聞くなと思ったけど、テストが終わったばっかりで皆色んな意味でテンションがおかしいから何も言わないであげた。
「おー、お前らテンション変だな。終わったか。」
後ろから声がしたから振り返るとそこには買ってきたばかりと見えるサイダーの蓋を開けながら近寄ってくるフィンがいた。
「終わった、ってどっちの意味?」
「そりゃあ俺らの頭の中の辞書には終わったって意味は悪い方しか書いてねぇだろ。」
「あ、終わりました。えぇ。」
フィンは?とフィンが少し飲んだサイダーを奪って問いかけた。疲れきった体に甘くて冷たい炭酸が染み込む。
「2択問題に懸ける。あれが全部合ってりゃ36点だ、赤点は回避できる。」
「記述のとこは?」
「なんっも書いてねぇ!」
「そんな自信満々に言われても・・・。」
当たり前だろ、何言ってんだお前。
そう言われて返す言葉が「聞いてごめんね」くらいしか見つからなかった。ここまでの態度を取られると逆に清々しい。
そして、このクラスに来て1つわかったことがある。このクラスにいると私の頭の弱さが目立たない。むしろまともな人間化してきてる。
クロロ先生はこれがわかっていてわざと私をこのクラスに入れたんじゃないかと思うくらいだ。
「まぁ終わった、つっても明日もテストだけどな。」
「そういうこと言うなよフィン。明日は明日、今日は今日。俺は明日もテストだろうが今日は帰って寝る。」
「カッコいいよ、ノブナガ。」
飲んでもいないのにまるで二日酔いテンションなノブナガに思わず笑って拍手を送ってしまう。
その時、ふと視線を変えたら扉から入ってくる巨体を見つけた。
「あ、ウボォー!」
「おーなまえ。どうした?」
どこかへ出かけて帰ってきたウボォーに手を振った。
ウボォーもにこやかに笑ってこっちに近づいてきてくれる。
「いや、みんながね。テストいろんな意味で終わったって言ってるから皆で慰めあってたの。ウボォーは?」
どうだった?と軽い気持ちで聞いたのに、いきなり空気が沈んだ。
ノブナガもフィンも不安げにウボォーの顔を覗き込む。
「・・・問題が理解できなかった。」
「・・・・・・・。」
珍しくウボォーは低い声で、脱力したようにそう答えた。
期末という名の恐怖
(ご、ごめんウボォー・・・!) (あー、・・あれだ。・・・・どんまい。) (気にすんなよ、俺もほとんど真っ白だからよ。)
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