アニメの24話を見てからを推奨します(大幅なネタバレがあるってわけじゃないです)





「バーナビー。」

「はい。」

「焦げ臭い。」

「・・・・・。」



バーナビーはいきなり私の家に来た。

いつもは私がバーナビーの家に行くから「なにこれ珍しい」って思ったのもつかの間、「なまえ、すいませんが台所を貸してください」と言ってきた。

「はぁ?」と思わず頭にクエスチョンマークを浮かべてバーナビーの左手を見ると、そこには近所のスーパーの袋。


この・・人・・・・、スーパー行ってきたの・・・?


そんな意外すぎる現実を突きつけられて呆然としていれば、バーナビーは袋に手を入れガサゴソ中を探る。するとバーナビーの手には1つの棒付き飴が握られていた。



「おみやげです。」


台所借りますね、と私にその飴を握らせると、私の返事も待たずにキッチンへ向かっていったのが30分ほど前の事。

今私はその飴を舐めながらバーナビーの後ろにいる。

最初はリビングでテレビを見て勝手にやらせていたのだけど、あまりにも焦げ臭さが部屋に充満したので「これはまずい」と台所にやってきた。案の定、フライパンからモヤが出ている。



「いきなりどうしたのバーナビー。」


今まで料理なんて作ろうとしたことなかったよね?と聞くと、バーナビーはコンロの方を向いて私に背を向けたまま、私を見ずにコクリと首を縦に振った。



「私の家でご飯作ろうと思ったのも、家の台所に道具が無いからでしょ?」

「そうですね。」

「タイガーさんこの前チャーハン作ってくれたときフライパンわざわざ持ってきてくれたんだよね?フライパンくらい買った方がいいと思うよ。」

「・・そうですね。」


コンロの火を止めて、バーナビーはようやく私の方を見てくれた。

表情を見ると「あ、失敗したんだな。」ってすぐわかった。普段は顔も性格も能力も申し分ない完璧なヒーローだけど、こういう風に2人でいるときは可愛い一面を見せてくれるバーナビーが好きで好きでしょうがない。



「何作ろうとしてたの?」

クスリと笑ってバーナビーに問いかけると、恥ずかしいのか一瞬言う事を戸惑っていたけど、口を開いた。



「こ・・・・。・・タイガーさんが・・・・。」

「タイガー?」

「はい。タイガーさんがチャーハン好きなんです。」

「ほう・・・。」


おいおいおいおいちょっと待って、何だその表情。あれ、ちょ、恋する乙女じゃないんだから。私といる時のバーナビーは確かに可愛いよ、すごく可愛い。

でも夜とかすごいし、男らしいし、というか紳士だし。本当に私には勿体無い彼氏なんだよ。本当バーナビーが「僕の傍にいて下さい」って言ってきてくれたときは自分の脳内がおかしくなっちゃったのかと思ったくらいなんだよ。


それなのに・・あれぇ、おかしいな。あれ、私、バーナビーの彼女だよね?



「バーナビーって・・前から思ってたけどタイガーさん大好きだよね。」

「・・・・。」

「最初は『なんであんなおじさんと組まなきゃいけないんだ』とか言ってたけど、あれはどうした?」

「・・・・・。」

「・・・・ワタシトタイガー、ドッチガ好キナノヨー。」

「!」


すごく棒読みで聞いてみた。

顎に手をやってめちゃくちゃ困ってる。あ、困っちゃうんだ。と思ったけど、嫌な気分にはならなかった。だってタイガーさんはいい人だってわかってるし、バーナビーに毎回会うたびにタイガーさんの話をされるけど、それ以上にちゃんと私を愛してくれる。

だから別にバーナビーを困らせたいわけじゃないし、タイガーさんにやきもちを焼いてるわけじゃないんだけど、何となく乙女なバーナビーが可愛いのでちょっと意地悪したくなった。

毎回夜とか意地悪されてるしね、今日くらい仕返ししてみたいよね!とか1人で考えていたらニヤニヤした。



「タイガーさんが、好きです。」

「・・・お。」

「でも、」


ニヤニヤしてたら一瞬心臓をハンマーで殴られた気分になった。

こいつ、私よりタイガーさん取っちゃったよどうしよう!とか焦ったけど、バーナビーはそのまま続けた。



「でも、なまえのことも好きです。タイガーさんは仲間として、相棒として、先輩として、人間として好きなんです。なまえは違う。」


考えていた仕草をやめて、バーナビーは私にかぶさるように抱きついた。



「なまえは僕の大切な人。僕の隣に居てくれないと困る人で、愛して止まない。」


安心する声で私をぎゅうっと抱きしめる。

本当にこの人は遠まわしな言い方をしないなぁって思うと愛しさが込み上げてきた。


「バーナビーにとって好きなこと、好きな人、大切に思えること。・・・・いっぱいできてよかった。」


前より優しくて、人間っぽい、とバーナビーの背に手を回して抱きしめ返せば、バーナビーは嬉しそうに微笑んでくれた。

私の顎に手を添えて、「なまえがいてくれたからきっとここまで来れたんですね」と言ってくれるとバーナビーらしい優しくて温かいキスをしてくれた。



君という人

(で、チャーハンどうする?)
(たぶんあれは食べられません。僕が後で食べます)
(私も食べるよ。だからその後に一緒に練習しようね。)


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バニーちゃんは思った事をすぐ言うタイプだとおもうので好きもストレートに言えばいい。

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