「いちご食う?」



朝藤真先生の車に拾われてドライブをした。海には慣れっこなのに、藤真先生と一緒にいるせいか海を見ただけでテンションが上がってしまった。

そのあとは知り合いに見つかると色々とやっかいなので、少し遠出をして藤真先生が色々なものを見せてくれた。

「色んな所知ってるんですね、やっぱりデートしてるじゃないですか」とニヤニヤしながら言ったら、藤真先生は絶望的な顔をして「花形とかとな」と返した。

・・・・ごめんね、先生。でも花形先生も素敵な人だと思うよ。

そんな感じでフォローをしたら鼻で笑われた。


そして今は藤真先生が大学時代によく来ていたらしい可愛いカフェに来ている。外装も内装も木造で暖かみがあり、本当に可愛くて感動した。

藤真先生がこんな可愛いカフェに・・と思っていたら私の考えがバレたようで藤真先生はすぐに「可愛いものも好きなの」と私の頭をメニューでパコンと叩いた。

藤真先生はアイスコーヒーといちごのミルフィーユ、私はあったかいミルクティーとチーズケーキを頼んで、今に至る。



「藤真先生、いちごのミルフィーユの上に乗ってるイチゴはメインですよ?」

「だから?」


一番上に乗っているイチゴをフォークでぷすりと刺して藤真先生は私の目の前に持って来た。

凄く赤くておいしそうなみずみずしいイチゴ。確かに、食べたい、けど。



「そのイチゴは藤真先生に食べてもらう為に出てきたんですよ。」

「俺が食べてもらいたい人に食べてもらう事によってこのイチゴは更に素晴らしい役目を果たせるんだよ。」


おらお前イチゴ好きだろ遠慮せずに食え!と私の口にイチゴを軽く押し当てるので、遠慮なくいただいてみた。

もぐもぐもぐもぐ。やっぱり見た目で思ったようにみずみずしくて甘い。凄く美味しくて思わず笑顔になると、藤真先生は満足げに白い歯を見せて笑った。

そんな藤真先生の笑顔が凄く可愛くて思わず赤くなってしまう。



「今食べたイチゴは顔も赤くなる作用があるんだな。」

「ち、ちがいますよ・・!」


照れ隠しに紅茶を飲んで一息置いてみた。カップ越しに藤真先生を見るとくすくす笑いながらミルフィーユを食べてる。似合うなぁ、ミルフィーユ。と思っていたら藤真先生が何かを思い出したように口を開いた。



「高校時代に家庭科の授業があったんだけど、その時花形とペア組んでたんだ。俺は料理苦手だったから花形に全て任せてみたら超がつくほど上手かった。」


そして美味かった、と藤真先生はアイスコーヒーのストローを口に含む。

今ケーキを食べてその味を思い出したらしい。こんなに美味しいケーキを食べて思い出すんだから、それだけ花形先生のケーキは美味しかったんだろうなぁ、と思いながら私もチーズケーキを口に入れた。濃厚で凄く美味しい。



「今度花形先生に頼んでみようかな。」

「そうしろ。俺も食べたい。」

「ちなみに高野先生のケーキとかは・・。」

「黒かった。」


本人はチョコレートケーキだって言い張ってたんだけど、どうみても黒い塊だったんだよな・・と藤真先生は思い出しながらコーヒーを飲む。



「チョコレートも入ってて余計に黒く見えたんじゃないですか。」

「たぶんな。ていうかお前もそろそろ家庭科でケーキ作るだろ。」

「・・・・・。」


藤真先生の発言に一瞬脳の思考回路が停止した。え、なにそれそうなの聞いてない。もしかして明後日の家庭科でそういう話になるのかしら・・!



「先生どうしよう、私その辺の女子力皆無だよ・・!」

「おいやめろよ高野の二の舞だけは。」


バスケ部で食べたけど衝撃的な不味さだったぞ、もうビターとかそういう表現じゃ誤魔化せねぇんだよ、パッサパサだし苦いしレギュラー全員病院行きかと思うくらい不味かったんだよ!と藤真先生は必死に私に語る。

そ、そこまでの味を作る高野先生も逆に凄いけど、私もそれくらいになりそうな自信がすごくあるよ、どうしよう。

更なる不安が募ってヘラリと笑うしか出来なかった。

藤真先生はそんな私を見ながらストローでアイスコーヒーをくるくる回す。そしてうーん、と1つ悩んでから藤真先生は口を開いた。



「・・・・じゃあ、美味くできたら食べてやる。」


ありがたく思え、と藤真先生は少し頬を赤く染めてプイッと視線をそらした。

家庭科の授業で作ったものを、藤真先生が食べてくれる。考えただけで嬉しい、凄く嬉しい。普段は「よろしく!」と頼り切ってしまう家庭科の調理実習も、今回だけは絶対に頑張ろうと思ってしまう私は凄く単純だと自負するけど、それは食べてくれる相手が藤真先生だからであって。

色々考えていたけど、もう嬉しい以外の考えが出てこないのでもう考えるのはやめにした。



「先生、私、焦がさないように頑張ります!」

「おう、そうしろ。」


すげぇ楽しみにしてる、と藤真先生はひじを机に立ててその手の上に頬を乗せながら眉を下げて綺麗に笑った。




今と昔のケーキのお話
(どんなケーキが好きですか?)
(フルーツ系とか、パイとか、なんでも好き。)

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藤真を書いてるときに「白い歯を見せて笑う」っていう表現を使うのが大好きです。だって想像するとすごく可愛いんだもの!
あと藤真の綺麗な顔で「おまえ」とか言わせるの大好きです。だからうちの藤真は少し口が悪い。すいませんw

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