昨日藤真先生とデ・・デートに行く為に10時に地元の公園で待ち合わせをした。

私はいつも学校に行く時、朝6時50分に起きる。それなのに今日は目覚ましをセットした8時ではなく、6時に起きてしまった。

・・・・嘘をついた、正直寝れてない。緊張のあまり寝ては目が覚め寝ては目が覚めの浅い睡眠を何回も繰り返した。そのおかげで大変な寝不足である。

時計の6という数字を指している短い針と、12を指している長い針を見た瞬間に思わず失笑してしまった。


これくらい早く毎日起きられたらもう少しゆっくり朝ご飯食べられて、髪もゆっくり梳かせて、学校までダッシュもしなくてすむのになぁと思いながら布団から出て顔を洗う。そしてちょっと早めの朝ご飯を食べて歯を磨く。

少しのんびりして昨日の内に用意しておいた服に着替えた。

出来るだけ気合いを入れすぎず、でもちゃんとこの前のラフな格好よりも可愛くしてみた・・つもりだ。


そして5分前に公園に着くように家を出た。家を出ようとした時点で緊張のあまり心臓がバクバクバクバク大変な事になった。このまま血圧上がって死ぬんじゃないかと本気で思った。


待つこと2分。公園の前に青い車が止まった。ガチャリとドアを開けて出てきたのは見覚えのある顔で。



「お、早いななまえ。」

「車・・・・!」


まさかの・・!と目を点にして体をいっぱい使いながら驚きを表現したら藤真先生に笑われた。



「俺が運転して何が悪い。」

「いや悪いとかじゃなくて予想外でして・・!」

「いいかなまえ。忘れてるようだから教えてやる。俺は大人だ。」


免許も持ってる、酒も飲める、借りようと思えば大人のビデオだって借りられる!わかったか!と藤真先生は車越しに私の方を見ながら熱く語った。朝から元気だなこの人、と思いながら笑って私は車に近づく。



「ま、ともかく乗れよ。」


助手席な、と後ろのドアに手をかけようとする私に言いながら先生は運転席に乗り込んだ。

ドキドキしながら助手席に乗り込んで、シートベルトをする。そんな私の行動を見た先生は「よし、」と言ってハンドルに手をかけた。車はゆっくりとスピードを上げて発進する。



「どこ行くんですか?」

「んー、とりあえずドライブ。」


そこのドリンクホルダーに飲み物置いといたから、と藤真先生は助手席にかかってるドリンクホルダーを指差した。

視線をやると、そこには冷たそうなミルクティーのペットボトルが置いてある。それを手にとって藤真先生とミルクティーを交互に見た。



「なんだよ。」

「・・・・これって、」

「お前を公園で拾う前にコンビニ寄ってきただけですけど何か。」


お前ミルクティー好きだろ?しょっちゅう購買で買ってるもんな、と藤真先生は笑う。

大人の余裕だ・・!と言えば、「違う、男の気遣いだ」と自信満々に返された。



「やっぱり俺もデートとかあんまりしたこと無いから色々考えるわけよ。」

「・・・・はい?」

「は?」

「デートを・・あまりしたことが・・ない?」

「ない。」

「・・・・嘘だあー。」


いいですよそんな嘘つかなくて、わかってますから。と手首を上下に振ったら先生は真顔で口を開いた。



「いや、俺本当に彼女ほとんどいたこと無い。」

「・・・マジ?」

「マジマジ。高校時代は高3の冬まで部活残ったからバスケ一筋だったし、大学もそんなに・・。」

「でももう手に余るくらい告白されたでしょう?」

「それはまぁされたけどな。」


自信満々に答える藤真先生は逆に清々しい。こんな事を先生に言うのもあれですけど、いつか刺されますよ、と言ったら藤真先生はニヤリと笑った。


「返り討ちだな。」


もしくは近くに高野が居たら高野を盾にする、とさも当たり前のように言い放った。高野先生に今度飴でもあげようと思った。


「高野先生はモテました?」

「お前それ本気で聞いてるのか?」

「・・・・・。」

「・・・・・。」


変な間が生まれてしまったので私はもうその質問はしないと心に決めた。いつか本人に直接聞こうと思っていた質問だったけど、それも絶対に聞くのはやめようと心に誓った。



「あいつは『いい人』で終わるタイプらしい。」

「あー・・わからなくもない・・・・。」

「でも花形は結構モテたぞ。」


大学の時も「これ花形さんに渡してください・・!」って手紙渡されてたんだよ、高野が。と聞いた瞬間に高野先生が不憫でならなかった。



「高野先生・・・。」

「まぁだからお前は高野に優しくしてやれ。」

「藤真先生もですよ。」

「俺はイヤ。というより今更俺が高野に優しくしたらたぶん高野は恐怖で泣く。」


すごい自信がある、と言いながら右折する為に藤真先生はハンドルを右に切った。

右に曲がると海沿いの道路に出た。太陽が海に反射してキラキラしている。藤真先生も私が海を見ているのに気づいたのか少しだけ窓を開けてくれた。

潮風が車内に入ってきて髪を撫でる。



「海は見慣れてるだろ?」

「そうですけど・・。藤真先生といるから見慣れた海を見ていてもすごく楽しいです。」


ふへへ、と笑って藤真先生の方を見ると藤真先生は右手を口に当てながらハンドルを操作していた。

頬も少し赤く見える。そんな藤真先生を見て私はハッとした。



「なまえ。お前も人のこと言えない。」

「・・・・今自分がどれだけ恥ずかしい事を言ったか気づきました。」

「俺の手元が狂って事故ったらお前のせいだからな。」


バカ、と藤真先生と私は火照った顔を冷やすために窓を全開にして潮風を浴びた。




前半から大戦争です

(今頃藤真の奴デートかなぁ・・。)
(そうだろうな。)
(なんで俺が藤真の分まで問題集作らないといけないんだよ・・!)
(・・・・。)

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デートは続きます。そして高野、ごめんね←

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