「あなたが我が校を志望した理由は何ですか?」

「来たかったからです!」

「ダメ、もうダメ、一発アウト。」

「えー。」

「えー、じゃない。気合い入れて言ってもダメ。」



先日第一志望の学校の一次試験合格通知が届いた。

ちなみに宗ちゃんと同じ学校で、もう宗ちゃんはバスケの推薦で受かっている。

だから私もどうしても受かりたくて、それを宗ちゃんに打ち明けたら面接の練習をしようと言ってくれたんだけど・・・も・・・。



「来たかったからって何。」

「じゃあ好きな人がこの学校に推薦で入ったからってい言う。」

「俺なら即落とすね。」

「じょ、冗談だって・・・・!」


にっこり微笑みながらプリントをぐしゃっと握る宗ちゃんは怖かった。

冗談も通じないのまったくー、なんて調子乗ったら完全に消されるので素直にただ謝るだけにしておいた。



「わ、私緊張しやすいタイプだから練習してもダメだよ。」

「緊張するタイプだからこそ今のうちに練習しとくんだろ?」

「そうだけど・・・・。」


聞かれた事にうまく返せる自信がない、と小さく零した。

学力テストも拷問に変わりないけど、元々口下手なのにいきなり言われた事を上手く答えるなんて拷問にも程がある。


本当にこの大学に入りたいっていう志望動機があるわけじゃない。ただ純粋に大好きな宗ちゃんと同じ大学に行きたい、ただそれだけ。

夢なんてまだまだ決められないし、進路なんて決めるのはもっとずっと先のことだと思ってた。


渋っていると宗ちゃんは何か思いついたようにポン、と手を打った。



「よしわかった、練習止めよう。」

「うん。・・・ん?」


何をおっしゃった、この人。思わずぽかん、と面をくらったような顔をしてしまった。


確かにダメと言ったのは私だけどまさか本当にやめるなんて。

ここは止めるべき。止めてほしい。頑張ればどうにかなる、って励ましてほしいのに宗ちゃんはそんなに甘くないようだ。



「無理だよ、だって俺だよ?」

「うん、そうだよね。ちなみに私口に出してた?」

「うん、だだ漏れ。」


そうですか、と返すと、そうなんです、と返す宗ちゃんはぐしゃぐしゃに丸めた面接プリントをゴミ箱へ投げ入れた。宗ちゃんは帰る用意をしながら椅子から立ち上がる。



「なまえの言う事は一理ある。練習したってしょうがない。面接なんてその時の試験官の気持ち次第だから、何聞いてくるかわからないし、その時のノリだよな。」

「う、うん・・・・。」

「例え今練習しておいたのと同じ質問されて上手く答えられるかもしれない可能性があっても、やらなくて良いよね。」


うん、と返せなかった。

そりゃあ今練習している事を試験官に聞かれたら儲けもの。たぶんそれだけでテンションが上がって他の質問にも上手く答えられる気がする。

そう考えると肯定なんて出来なかった。



「ごめん、宗ちゃん。やっぱり頑張る。」


帰ろうとしている宗ちゃんの制服の裾を掴んで引き止める。

怒られるかな、って思ったけど、宗ちゃんの顔は逆にやさしかった。



「ん、良い子。俺と同じ学校行くんでしょ?」

「うん。だから頑張る。」


そっか、と優しく笑んで私の頭を撫でてくれた。




一歩でも夢に近づけますように
(じゃあなまえ、悪いんだけどゴミ箱からプリント拾ってきてくれる?)
(・・・・・え゙)
(早く。)
(ハイ・・・。)

****
「悪いんだけど」と言うだけまだ優しい神君です^^^^←
ちなみにこの時期に推薦入試?だった?かな?記憶が薄れる・・・・。時期ハズレだったらスイマセン><

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