「よーへー。」

「んー、どうしたなまえ。」

「お腹すいた。」

「じゃあコンビニでも行くか。」



さっき買ったばかりのファッション雑誌を読みながらモデルさん可愛いなーとかこの服素敵だなーなんて思っていたら、お腹がぐぅ、っとなって現実に引き戻された。時計を見ると5時過ぎ。夕飯にも少し早い。けれどおやつを食べていないから何か小腹に入れたくなった。

ソファーに背中を預けながらバイクの雑誌を読んでいた洋平に近づき、服の裾をひっぱりながらそう訴えると、わかったわかったと私の頭を撫でながら洋平は立ち上がってくれる。


洋平の優しく笑った顔が好きだ。




「何食いたい?」

「・・・・何があるだろう。」

「コンビニだからそれなりに物は揃ってると思うぜ?」

「・・・・味噌味の行列のできるラーメ・・、」

「いやいやいや、確かに何でもあるとは言ったけど行列シリーズはあるかわかんねー。」


ただの味噌ラーメンならあるかもな、と洋平はファー付きの上着を羽織った。

そして近くに一緒にかけてあった洋平の黒いマフラーを「寒いから、」と自分の首には巻かずに私の首に巻く。


一つ一つ優しい洋平の仕草。不良として恐れられてるなんて思えない。

まぁ逆に怖がられている方が私的には安心だけど、なんて思ってしまう。優しい洋平が大好きでしょうがないのだ。




「俺的にはあのコンビニは肉まんがオススメ。」

「花道達と食べたの?」

「ピンポーン。」



正確には食べられた、な、と洋平は悪戯っぽく笑った。


洋平が私に食べ物を勧める時は、決まって前もって花道達と食べて美味しかった物。

大抵は洋平が買って一口食べて、そのあとは全て花道達に横取りされちゃう。だからその後に一緒に買いに行って、私と半分コするのがお決まりだった。



「上着は着たか。」

「あったかボア付きです。」

「マフラーしたか。」

「洋平が巻いてくれました。」

「手袋は・・・、」



いらねぇか、と洋平は私の手を掴んだ。

大きくてあったかくて安心する洋平の手。


もう付き合って長い時間が経つというのに、未だにこういう仕草に一々ドキドキしてしまう私は末期だ。




「じゃあ行くかー。」


洋平がそう言いながら玄関の扉を開いて、私たちは寒空の下、コンビニへ向かった。





キラキラデイズ
(こんなにもあったかくて優しい日常)

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