「楓ー、・・楓ー!?・・・・ちくしょう、何で私が・・・・。」
せっかくの貴重な昼休み。
私は購買で買った焼きそばパンを片手に楓を探していた。
何でも楓があんまりにも授業中に寝ているので担任が説教をしたいらしい。
でも教室に楓は居なくて、私が楓探しに抜擢されてしまったのだ。私やきそばパン食べるところなのに!と担任に抗議したけど「お前の旦那どうにかしろ」と一蹴されてしまった。
しかも連れてこなかったら私が職員室行きって言われたし・・、理不尽!楓を探すにも、三井先輩も赤木先輩も桜木君も見てないって言ってたしなぁーと頭を抱える。
途中偶然会った楓のバスケ部の先輩や友達(?)に聞いても楓の場所はわからない。
焼きそばパンの最後の一口を口に放り込みながら楓が居そうな場所を頭の中で考えた。
屋上かな。・・・・無理だな、暑いし絶対居ない。・・・・体育館裏?いや、桜木君達が溜まってるから絶対行かないだろうし・・・・、・・・・・・あ。
ふと思いついたその場所。
何の保障もなかったけれど、彼は絶対そこに居る。
そう思って小走りで楓が居るかもしれないその場所に向かった。
「・・・いた。」
案の定、楓は保健室のベットに居た。
保健の先生が今日は居ないから、絶対ここで寝てると思ったのが見事正解した。やったね。
「かーえで君。先生が頭に角生やして職員室で待ってますよー。」
ほっぺたを人さし指で突きながら言ってもまるで反応無し。
完全に熟睡していた。
「楓さーん、起きて下さーい。楓が職員室に行かないと私が職員室送りなんですよー!」
絶対嫌ですよー!と今度はサラサラの短い黒髪を触りながらさっきよりも少し大きめな声で言ってやった。
するとちょっとだけ眉間にしわを寄せてうっすらと目を開ける楓。
「おはようございます。」
「・・・何時。」
「12時54分。もうすぐ昼休み終わっちゃうよ。」
「・・・・5限も寝る。」
そう言って楓は再び布団の中に潜り込んだ。
「え、ちょ、うそ!楓!楓が職員室行かないと私が怒られるって!」
「・・・じゃあ、」
「・・は?!ってどわっ!」
再び寝ようとしていた目を開いて私の手首を掴むと楓は私をベットに引きずり込んだ。
「何すんですか!」
「お前もここに居りゃ叱られねぇだろ。」
「いやー、どちらかと言えば余計に怒られるかと・・。」
「いいから、」
黙って寝てろ、と楓は私を大きくてあたたかい腕で包み込んでくれた。
ドキドキして、心臓が飛び出そうになったけど、楓はそんな私を気にせずにスースーと寝息を立て始めている。
最初は、なんとなく一緒に居た。
なんとなく付き合っただけだった。
でももう楓無しじゃいられない。
こんなにも安心できる場所なんて他にはもうないから。
「こんなに好きになるなんて、思わなかったよ・・・。」
寝息を立てる楓にそっと呟くと、私もそのまま眠りについた。
RUSH BABY (君がいれば、他は何もいらない)
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