ただ今テスト期間中ということで全ての部活が強制的に部活動停止になっている。

でもそんなの俺には関係ねぇ、と流川は体育館でシュート練習をしていた。

テスト期間中しかまともに一緒に帰れないから、となまえは流川が満足するまで体育館のステージの上で勉強しながら待っている。


そして1、2時間経った頃だろうか?

シュート練習に満足した流川はボールをしまって顔を洗って汗を拭いて制服に着替えてなまえのところに戻ってきた。



「(ん・・・?)」



目線の先には静かに寝息を立てて横になって眠っているなまえの姿。

日本史の教科書が近くに開いたまま。

いつの間にか寝てしまったのだろう。普段勉強なんて大嫌いだと公言しているほどだ、慣れないことをして疲れてしまったに違いない。

ジッと流川が視線を送っても起きる様子は見られなかった。



「(・・床で寝て体痛くねぇのか?)」


そう思った流川はなまえの体を軽く揺らした。



「起きろどあほう。」

「ん・・・。」

「帰るんだろ。」


もう少しだけ揺らす力を強めると、うっすらと目をあけるなまえ。

それでも頭は寝ているようで目がうつろになっていた。



「(・・・)」


何か考えついた流川はなまえの耳元に顔を近づけた。



かぷ、



その刺激になまえはビクッと体をふるわせて思いっきり目を開く。



「なななな何・・・?!」

「む・・・。」


耳にくすぐったいような軽い刺激が走って、うつろに開いていた目がしっかりと開くと、この状況はどうしたものかとなまえは耳を押さえながら上半身を起こす。



「起きたか。」

「い、今楓、み、耳・・・・!耳・・・・!」


なまえは甘噛みされた方の耳を押さえながら顔を真っ赤にさせた。

一方流川はだから何だと言うような顔をして首を傾げている。



「声かけて起こすとかそういう方法は頭にインプットされてないの・・!?」

「最初それで起こしたけど起きなかった。」


それに、と流川は再び押さえられていない方の耳に顔を近づけた。



「言葉で表すより行動の方が面倒じゃねぇし、早ぇ。」


気がする。

その一言と共にかぷりとさっきと同じく甘噛みした。



「ちょ、待て、齧るな、・・・舐めるなー!」



誰もいないテスト期間中の体育館にはなまえの絶叫が響き渡った。




男は狼なのよ
(気をつけなさい)

***
うちの流川は天然。

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