「好きだよ。」

「ぶっ!」



久しぶりに部活がない宗ちゃんの家に来た。

珍しい事なのかはわからないけれど、私たちは自分達の好きなことを好きなようにやる。

同じ空間にいればそれだけで満足感を得られるからだ。もちろん寂しくなったらくっ付いて「かまって」アピールをすればいい。

とりあえず今日もいつも通りお互い好きな事をやっていた。私は宗ちゃんちに来る前に買ってきたレモンティーを飲みながら宗ちゃんの本を読んで、宗ちゃんは週間バスケを読んでいた。

それなのにいきなりの宗ちゃんの発言にビックリして飲んでいたレモンティーを思いっきり吹いてしまったのだ。



「汚いなぁー。」

「ちょ、だって宗ちゃんがいきなりおかしいこと言うから・・!」


怪訝そうに私を見る宗ちゃんに軽く泣きたくなった。

確かにレモンティーを吹いたことは謝る。けれど何の脈絡も無く、甘い雰囲気も無く「好きだよ」は誰だってビックリすると思うんだ!



「へぇー、俺の告白をおかしいとか言うの。」

「そうじゃなくってですね!」



嬉しいけれども!最高に喜ばしい事なんですけれども!と主張すれば笑顔で「うるさい」と返された。泣いてもいいだろうか。

・・・・私の強靭な精神で話を戻すけれど、宗ちゃんに好きって言われることは何よりも嬉しいんだ。


けどやっぱり好きな人から「好き」と言ってもらえるのは照れくさいものがある。ドキドキしてしまう。

やっぱりそれなりの雰囲気とタイミングと心の準備が必要だと思うんだ、と宗ちゃんに言えば「ふぅん」と言いながら宗ちゃんは私に近づいてきた。



「思い出したんだよね。なまえの寝言。」

「・・・寝言?」


はて、と頬に手をやって思い出そうとしてみるけど何も思い出せない。



「寝てたんだから思い出せるわけないでしょ。寝言は寝て言うんだよ。どこまで阿呆っていうか天然っていうか。」

「すいません・・・・!」


この人私のことどこまでいじめたら気が済むんだろう。最近愛されてるのかも疑問に思う。それに私も何謝ってるんだろう。私少しも悪くないのに。自分を呪いたい!

うっうっ、と挫けそうになっていたら近づいてきた宗ちゃんが私の前にしゃがんで私の頭を優しく撫でた。



「寝言でさ、『ごめん』とか、『怒らないで』とか、『うあ゙ー』って言いまくって、しかも語尾には全部宗ちゃん。」

「・・・・・・。」


絶望した。

何に絶望したのかは自分じゃ判断できない。

宗ちゃんの前で寝た自分に絶望したのか、夢でも宗ちゃんに怒られてる自分に絶望したのか、夢で発言した事を素直に寝言として発してしまった自分に絶望したのか、はたまた他の可能性全てを含めた自分全体に対して絶望したのか。

おそらく最後だろうけど。

とりあえず寝てたとはいえ宗ちゃんの神経を逆なでしそうな発言を堂々としてしまった私は土下座をした方が良いのか、普段使わない脳内をフル回転させて全力で悩んだ。



「俺、優しくしようとすると逆にいじめちゃうみたいなんだよね。」


怒ってるわけじゃないんだよ、と困ったように笑う。頭を撫で続けてくれる手の動きは凄く優しくて気持ちいい。

ゆっくり顔を上げれば、そこにはすごく優しく笑みながら困った顔をしている宗ちゃんがいた。

頭を撫でてくれた手はそのままするりと下りて私の頬に添えられる。



「なまえ、ちゃんと好きだから安心してね。」


誰よりも何よりも、ちゃんと大好きだからさ、と宗ちゃんは私の唇に触れるだけのキスをした。




無限大のi love you

(嬉しい。感動して泣きそう。)
(泣いた顔は可愛くないからやめた方がいいよ。)
(・・・・!)
(うそうそ。泣いた顔もすごく可愛い。襲っちゃうぞ。)


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神君全開フルパワー。

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