なまえの中での決まりごと。


その1、できるだけ部活をしている体育館に近づかない。理由、元々喧嘩ばっかりしていたので自分が喧嘩をする気が無くても喧嘩をふっかけられるので、その時自分と仲良くしてくれてるバスケ部に火の粉が飛ばないようにするため。

その2、暑くてイライラしてもノブで遊ばない。理由、自分で言うのもあれだが可哀想。

その3、彼氏である牧紳一に「デートしたい!」などの我が侭は言わない。理由、部活で頑張っている彼の邪魔はしたくないから。


この3か条は彼女の中では絶対だった。もちろん例外はあるが。少なくとも、今のところ3番目の決まりごとをまだ破った事が無かった。

そんな3か条を知っている牧は、休日午前練だけで終わる日、なまえをデートに誘った。自主練に付き合ってくれることはあっても、なまえの中の3か条によりデートという形をなかなかなまえはとろうとしないからだ。

誘われた事に最上の嬉しさを覚えたなまえは目をキラキラさせて「行く!練習終わる頃に私学校まで行くから体育館で待ち合わせね!大丈夫、その日は喧嘩絶対しないから!」と両手を挙げて喜んでいた。



そして当日。部活が終わる頃になまえは体育館に姿を現した。

てっきり制服で来るかと思っていた牧を含め、部員全員なまえを見た瞬間、一瞬固まった。私服を身にまとったなまえはいつもと印象が違って見えたからだ。



「やっほ!」


黄色のチラ見するキャミソールの上から白いコットン生地のチュニックを着て、ジーンズのショートパンツが少しだけ見える。

ちょうど外へ出ようとしていた牧がなまえに近づいた。



「制服・・じゃないのか。」

「あれ、制服のがよかった?」


いやぁー今日休みだしーワイシャツアイロンしてなかったんだよねー、となまえは笑う。

笑って視線を体育館内に戻すと清田と目が合ったので手をひらひらと振れば、清田は慌てすぎて片そうと両腕に抱え持っていたボールを全部落とした。

そんな清田を見て「ドジなやつ」と笑いながらなまえはポケットから桃の飴を取り出して口へ入れた。



「似合わない?」

「なんというか・・意外な私服で。あ、いや似合ってるが。」

「そか!」


よかったよかった!となまえは上機嫌だ。にこにこと笑顔を保ちながら筋肉質な牧の腕にぎゅっとしがみつく。



「どこいく?!」

「そうだな・・。おれはノープランなんだが・・・・。」


どこか行きたいところあるか?と問いかければ、なまえは頭をかいた。


「あー・・あたし、デートとか人生1度もしたことないからどういうとこ行けば良いのかわかんないんだよね・・・。」


ちょっと出る前に会議しよう、会議。となまえは牧と一緒に体育館の入り口の邪魔にならない場所に座り込む。顔を洗いに横を通り過ぎて出て行こうとするノブも捕まえて座らせた。



「な、なんですか!デート行くんじゃないんすか?」

「問題発生したのよ。あんた、彼女とデートするならどこ行く?」

「え・・は・・?!お、俺デートなんかしたこと無いっすよ!」

「なにそれ使えない!高1で、しかも男ならデートの1つや2つしときなさいよ!」

「オーボーっすよ!」


なまえさんだってどうなんですか!悩んでるってことはデートしたこと無いってことでしょう?!と珍しく勇気を振り絞って清田はなまえに噛み付いた。

そんな清田の発言になまえは一瞬目を点にさせたが、顎に手をやってゆっくり口を開く。



「あたしとデートしたい、なんて思う男子が今までいたとでも?」

「・・・・・・。」


すいません、と清田はなまえの発言に苦笑いした。牧も横でハハ、と眉を下げて笑う。

清田では全く参考にならないことがわかったなまえは、今度はその横を通り過ぎ、帰ろうとした神君を捕まえた。



「なんですか?」

「神君、デートの経験は?」

「デート・・?うーん・・・・ないですね。」

「うそだー。神君モテるっしょ?」

「自分からすごく好きって思う女の子が現れるまで誰とも付き合わないって決めてるんですよ。」


大人な発言に、3人は一瞬固まった後「おぉ」と感動を漏らしながら小さく拍手した。

ノブも見習いなさいよ、となまえが清田に言えば全力で尊敬のまなざしを神へ送りながら首を縦に振った。



「それにしても・・どうしよう。この海南バスケ部には参考に出来るやつが1人もいない!みんなバスケ好きすぎ!そんな皆が好きだけどね!」

「言ってることがめちゃくちゃだぞ。」

「リッキーに聞きにいくしかない?」

「リッキーって誰っすか?」

「高頭。」

「・・・・・!」


なまえの発言に牧、神、清田の3人は顔を伏せて肩を震わせながら一生懸命笑いを耐えた。

元々なまえは先生があまり好きではないのだが、高頭にはなんとなく好感を持てているらしく、よく扇子を奪ったり、話しかけているところを見かけていた。

高頭も高頭で色々叱ってはいるが見放さずにちゃんと相手をしている。


そんなことを思い出しながら笑う神は堪えながら人差し指を立てて1つ提案をした。



「でも俺が1つ提案するなら、今まで全く違う道を進んできた2人なんですし、せっかくだからお互いの今まで好きだった場所や遊んでた場所に連れて行きあうっていうのはどうですか?」

「神くん、天才。」

「いい案だな。」


飴あげるよ、とポケットから出したブドウの飴を神の右手に握らせた。神はその飴を見て「ありがとうございます」と苦笑する。

どっちの好きな場所から行こうか?となまえが牧に相談して、最初はなまえの好きな場所へ行く事になり、立ち上がる。



「じゃぁ、紳一!最初はボーリングね!」


私と遊ぶと体力使うから覚悟してよね、と不適に笑うなまえに牧も眉を下げて笑う。

楽しんできてくださいね、と清田と神に送り出されて2人は初めてのデートをスタートさせた。



デートのときくらい、甘えてみましょう

(アイス半分こっていうのしてみたい!)
(じゃあコンビニよってくか。)


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ボーリングでジュースをかけて勝負→海でおしゃべり→意外に子どもから人気があるなまえの為に子どもたちと全力で遊ぶ→牧も気に入られて全力で遊ぶ→疲れて帰宅。のコースがベストですね


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