俺の名前はスーパールーキー清田信長。今日はある人のことについて話したいと思う。


オレンジがかった茶髪の髪、短いスカート、第2ボタンまで開いたカッターシャツ、両耳についたピアス。少しだけ施された厚くない自分を引き立てるけど、少し強い印象を残す化粧。


昼休み、海南で1位、2位を争う問題児が体育館にいた。




「何言ってんの。これでもあたし紳一に出会ってだいぶ改心したんだから。」

「どの辺がっすか。」

「自分から仕掛ける喧嘩とタバコをやめた。」

「あああマジで牧さんなんで付き合ってんすか!」

「うわ何、生意気ー。可愛いじゃんノブー、ムカつくけど!」



彼女より2つ下の後輩ではあるけど、成長期の男である俺はなまえ先輩よりも背が高い。それでもなまえ先輩は爪先立ちで背伸びをし、俺の頭に手を伸ばしてぐしゃぐしゃと撫でた。

逃れようと暴れながらも視線だけなまえ先輩に向ければ、豪快に俺の頭を撫でるなまえ先輩は棒付きの飴を口に含み、白い歯を見せて笑っている。



「ちょ、やめてくださいって!」

「なんかノブって母性本能くすぐるよねー。」

「牧さーん!」

「・・・・やめてやれ。」


そばで腕を組んで見ていた牧さんに助けを求めると牧さんはため息を1つついて先輩を制止する。

いくら昼休みの自主練って言っても邪魔しちゃダメだろう?と牧さんはなまえ先輩の頭を撫でた。なまえ先輩は牧さんに撫でられるのがすごい好きらしくて笑顔が咲いている。



「しょうがないじゃん、これも私の愛情表現だから。」

「迷惑な愛情表現っすね。」

「やっぱ失礼なやつー。」


食べ終えたあめの棒を口から出して、ガムを噛みながらまた綺麗な歯を見せて先輩は笑った。彼女は、タバコをやめてから口が寂しいようで、口が寂しくならないように常に飴を舐めたりガムを噛んでいる。

タバコ代より金かからないから良いんだけどね!肌荒れ治るしね!と前俺に(強制的に)語ってくれたのを思い出した。



それにこの人は、元々綺麗な顔立ちをしてるから笑うと凄く綺麗なんだ。


そんな綺麗な顔に、この前ちょっと傷があったから「どうしたんすか?」って聞いたら「ケンカ仕掛けられた、でも勝ったよ」って笑顔で返された。

本人曰く相手が女の子なら誰にも負けないって言ってるけどそんなこと無いと思う。絶対この人は男にも勝てると思う。少なくとも俺は勝てる気しねぇもん。

3年の先輩曰く、なまえ先輩は牧さんと付き合う前は荒れに荒れて喧嘩上等だぜ勉強?はぁ?てかこっち見んなよ潰すぞ、だったらしいから余計に今の先輩は可愛く見えるって皆言っていた。

それにしてもなまえ先輩をほぼ正常にした牧さんってやっぱりすげぇ!



「先輩そーいや明日のテスト大丈夫っすか?」

いろいろ考えていたけど、どうしてなまえ先輩がここにいるんだろう、という事と明日がテストだっていう事を思い出して問いかけた。



「んーん。大丈夫だったら今日学校来てないし。」

「ですよねー。」


とりあえずこの人は出席日数大丈夫なんだろうか。そしてその俺ら海南バスケ部のメンタルをも凌ぎそうなメンタルはどこから来るんだ。焦らなくて良いのか先輩。

言いたい事は沢山あるけど、言ったらまたイジられそうだから心の中に閉まっておく。・・・・けどやっぱり心配だ。

問題児とは言われていても中身は凄くいい人だから気になってしまう。それがなまえ先輩マジックなんだよな。



「紳一、今回もお願いします。今から全部教えてね。」

「・・・・しょうがない奴だな。」



牧さんは困ったように笑った。


けどそんな2人がとっても幸せそうに見えたから、そんな2人を見て俺も幸せになっていたんだ。



magic!magic!magic!

(なまえさん。)
(あ、神君じゃん。なになに?)
(高頭先生が呼んでますよ。)
(・・・・しまった、扇子拝借したのバレたかな?)

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