「ありえん。何で職員室のガラス割ったん?」
「割りたくて割ったんちゃうもん・・・・。」
体育が終わった休み時間。
ちょうどそれはお昼休みだった。
更衣室で汗を拭き、着替え終わった南はいつものようになまえとお昼を食べるため教室へ向かった。
そこにはもう女子が数名体育から帰ってきていた。
けれど、待てども待てどもなまえが帰ってこない。
近くに居た女子になまえの場所を聞けば・・・。
「は・・・?職員室?」
ということになり、なまえを職員室まで迎えに行った。というのが今の状況である。
「ボール投げたら飛んでった。」
「・・・・・・・。」
「すごく飛んだ。」
なんでやねん。
南は額に手をやって小さくため息をついた。
話を聞くと、女子は今日ハンドボールだったらしく、思いっきり投げたら思わぬ方向へ飛んでいき、最終的に職員室の窓を突き破った、ということだ。
「お前、前から思ってたけど天才やな。」
「そうかなぁ?」
「で?説教くらってたん?」
「ううん。わざとやったんちゃうから怒られんかったけど、掃除させられた。」
ガラスの破片が飛び散って悲惨やったわー、とケラケラ笑う。
ちなみに不幸中の幸いで怪我人は1人も出なかったらしい。
悪運が強いというかなんと言うか・・・・。やはりなまえは色んな意味で天才だと心の中でまた思った。
「で、お前どうするん?」
「へ?」
「メシ。」
お前今日購買で買う予定って言ってたやん。
そういった瞬間になまえの顔が真っ青になって、近くの教室を覗き込み時計を見た。
「・・あかん。もう購買何も無い。」
「まぁ時間が時間やしな。」
購買がスタートしてからもう軽く30分は経過している。
その上もう昼休みも終わる間近だった。これで残ってるのは飲み物くらいだろう。
終わった、と絶望に浸るなまえを見て南は困ったように、でも優しく笑った。
「しゃーないなぁ。食べ行こ。」
「・・・・は?」
ぶらん、と下がっているなまえの手をとってちょっと引いて歩き始めた。
なまえは目を点にして、されるがままに引きずられていく。
南はなまえのバランスが崩れない程度に引っ張って昇降口へと歩いていった。
「外に食べに行こう言うてんねん。」
「え、や、ちょ、学校は?!」
「知らん。」
俺かてお前待ってたから飯ない、と言いながら昇降口に着いて靴を履き替える。
まだちょっと心配そうな顔をするなまえの表情を見て南は安心させるように口を開いた。
「お前だってしょっちゅう遅刻してるやん。遅く来るか、早く帰るかの違いやんか。ぶっちゃけ俺らの頭の中に、『普通』が載ってる辞書はないねん。」
よぉわかったわ、と頭を掻いてニッと笑うと、単純ななまえもつられてへらりと笑う。
午後の授業をサボり、ラーメン屋に行った2人が説教部屋に招待されるのは次の日学校に登校した瞬間だった。
縛られない系人種 (とんでもなく怒られたやん南〜、遅刻した方がまだ優しいわ〜〜) (いやキョーレツやったなぁ久々に…)
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