「轟くんは私の事、好き、嫌い、好き、嫌い…」
「おい」
「ほぎゃ!?」

寮の中庭にマーガレットが咲いていたので柄にもなく花占いをやっていたんだけど、よりによって本人に見られてしまった。

「轟くん!なんでここに!?」
「姿が見えたから来た。」
「そ、そうなんだ…!」
「花なんかむしり取って何やってんだ?」
「えっと…花占いを…やってまして。」

芝生に散らばった白い花弁をかき集めていると、轟くんも私と同じように座ってマーガレットを摘んだ。

「どうやるんだ?」
「あ、あのね…好き、嫌いって交互に言いながら花弁を一枚ずつ千切って、最後に残った花弁で好きな人が自分をどう思ってるかを占うんだよ!まぁ、遊びだけどね…!」
「そうか。」

轟くんは私の説明通り、好き、嫌い…と交互に呟きながら真剣に花弁を千切っている。
私も再開しようと手元のマーガレットを見てハッとした。あれ、好きか嫌いかどっちで手を止めたっけ。
轟くんに声をかけられる前だったから、えーっと。

「確か…好きだったかな。嫌い、好き、嫌い、好き…、」
「お。」

花弁が最後の一枚になったらしく、轟くんがこちらを向いた。

「好き、だった。」
「あ、そうなんだ!良かっ…た、…ね…。」

手元にあるマーガレットも花弁を一枚残して私を見上げていた。占いの結果は、

「…嫌いだった…。」

たかが占い、されど占い。残念ながら私の願いは届かず、嫌いという2文字の現実が重くのしかかった。

「お、おい…ただの遊びなんだろ。」
「うん、そうなんだけど…。」

花弁を千切られ見すぼらしくなったマーガレットの茎を指でクルクルと回していると、私が持っている物と同じフォルムのマーガレットを差し出された。

「換えてやる。」
「えっ、轟くん…?」
「だから元気出せ。」
「あ、ありがとう…!」

マーガレットを交換する時に指先がこつんと当たり、身体に電流が走ったような気がした。顔を上げると、轟くんは顔を真っ赤にしていて。私の恋が叶う日は、もしかしたらそう遠くない未来なのかもしれない。



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