ある日の朝、カーテンを開けると温かな日差しが園のプレイルームに入り込んできた。連日雨が続いていたという事もあり、ポケモン達も大喜び。今日は見学の予定も無いので、みんなで外に遊びに行く事にした。

ブラッシータウンのすぐ近くに野生のポケモンが出にくい原っぱがあったのを思い出し、みんなで収穫したきのみやカロス地方の銘店から取り寄せたポフレをバスケットに詰め込みポケモン達をモンスターボールに入れてタクシーに乗り込んだ。

原っぱには案の定誰も居なかった。普通のトレーナーが持っているものよりも大きめのテントを張ってからポケモン達を出してやると、ポケモン達は大喜びで広場を駆け回った。ボールで遊ぶ子もいれば追いかけっこをしたり、水浴びをしている子も居る。陽当たりも良いし、カレーを食べて絵本を読んだらお昼寝タイムにしよう。

みんなでカレーを食べ終え絵本を読み始めると、早くも何匹かウトウトし始めた。眠くなった子をパートナーポケモンのキテルグマが順番にテントに入れお腹にブランケットをかけてくれた。

「よし、みんな寝たね。」

全員がすやすやと眠り就いたのを確認すると、突然キテルグマの丸い手が肩に乗った。

「クゥー。」
「ん、どうしたの?」
「クゥ、クゥ。」
「え?私もお昼寝してもいいの?」
「ク。」

キテルグマが軽く頷き、私の手を引き日向に座り込む。強い碗力に逆らえず同じように座ると、もふもふとしたキテルグマの毛が肌に当たり、更にヒトと比べるとやや高めの体温が心地良く感じた。遊びたい盛りのヌイコグマの頃と比べると格段にお姉さんになったなぁ、としみじみ思う。あっという間に眠気が私を夢の中へといざなった。

「ん…。」
「や。なまえさん。」
「んー…?」

座って眠っていた筈が起きると横たわっていて、上から声が聞こえてきた。よく知る人の声だ。今日みたいなぽかぽかしたお天気にぴったりの…。

「えっ!えっ!?えーーっ!!?」
「よく眠れましたか?」
「や、やややヤローさん!なんでここに!?」
「あぁ。ぼく家が農家でして。ブラッシータウンにあるきのみ屋さんとは昔からの知り合いなんですよ。用事を済ませてたまたまそこの道を通りかかったらなまえさんが眠っていたので。」
「すみません…!勝手にお膝までお借りしてしまって!よ、よだれ大丈夫かな…。」
「あはは、気にしないで。」

目を覚ますとそこには、会いたかった憧れの人が居た。良かった、よだれは垂れていなかったみたいだ。まさかこんな所で会えるとは思っていなかったので自然と顔が緩まる。
ポケモン達はすっかり目を覚ましていて、遠くの方でキテルグマが子守をしてくれていた。

「とても強そうなキテルグマですね。」
「ふふ、すごく強いですよ。でも思いやりのある良い子なんです。」
「そうなんだ。トレーナーに似ていますね。」
「私、そんなに強そうに見えますか?」
「あっ、いや、内面が、です!」
「ふふっ。」
「でも、」

取り乱すヤローさんが可愛くて思わず笑ってしまった。ヤローさんは目をぱちくりとさせた後、少し困ったような表情を浮かべて諭すように話した。

「たとえキテルグマが一緒でも女の子が一人で無防備に眠るのはいただけません。」
「そうですかね?私みたいな小娘誰も狙いませんよ。」
「何かあってからでは遅いですから、とにかく気を付けてくださいね。」
「わ、分かりました。何だかすみません。」

頭を撫でられ、ボッと顔を熱くなる。身体中の体温が顔に集中しているのではないかと錯覚しそうになった。ポケモンの技で例えると、今ならオーバーヒートを使えるんじゃないかと思うぐらいだ。

「や、ヤローさん…っ。」
「君が思ってる以上に、君を可愛いと思ってる男は多いですから。」

ヤローさんが最後に呟いた言葉の意味はよく分からなかったけど、心配してくれた事と女性扱いされた事がすごく嬉しくて、すっかり日は陰ってしまっているのにも関わらず身体中は温かいままだった。


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