「美味しい…!」
「やっぱ疲れた身体にはココアだよな!まあ俺ほぼ何もしてねえけど。」
「ちょ、笑わせないでください!」

勉強後の糖分不足の身体と温かいココアは言うまでもなく相性抜群なのだけど、普段自分の部屋で飲むものよりも格段に美味しく感じられるのはきっと、ペパー先輩が淹れてくれたからだと思う。

そんなペパー先輩はというと、デスクチェアに逆座りしてチェアの向きをゆるゆると左右に動かしながらココアを飲んでいる。
いつもはしっかりしていてThe・お兄さんという感じなのに、こんな風にたまに見せる子供っぽいところが大好きだ。

それにしても、やっと仲良くなれたと思ったのに次は"友達"という壁を越えなければならないのか。
でも、もしもこの恋が叶わなかったら。気まずくなって今みたいにペパー先輩と会うことができなくなったら。そう思うと今のままでもいいのかな、なんて。

「さっきの話だけどさ。」
「?はい。」
「…ナマエは付き合ってた奴とか居んのかよ。」
「えっ!私!?」
「俺は言ったし、ナマエも言わねえと不公平ちゃんだろ?」
「い、居たことありません!ペパー先輩と同じです!!」

食い気味に、しかも自分でも驚くぐらいの大声を出してしまい、ペパー先輩の形の良い目が更に丸くなった。
今のでマフィ子達も目を覚ましたらしく、視界の端で大きな欠伸をしている。自分で言っておいて恥ずかしくなってしまい、すみませんと小声で呟き椅子に座り直した。

「わはは!何だよ今のでけえ声!面白すぎだろ!」

何が面白かったのかさっぱり分からずだったが、ペパー先輩がお腹を抱えてひいひいと爆笑するものだから何だか私も笑えてきてしまい、最後には二人で涙が出るぐらい笑っていた。

「はー、ツボったツボった。ナマエマジ最高ちゃんだな!」
「ペパー先輩の爆笑具合もなかなかのものでしたよ。」
「うるせ!お前のバークアウトが面白すぎたんだよ!」
「バ…!?」
「笑ったら目覚めたぜ!っしゃ、やるか!」
「何か納得いかない…。」

そこから真剣に勉強に向き合うこと四時間。
山積みだった課題は無事にアカデミーへ提出できる状態になり、ペパー先輩はずっとペンを走らせていたせいで手と腰が限界を迎えたらしく、言葉にならない言葉を発しながらへろへろとベッドへ倒れ込んだ。

「疲れた…。しばらく勉強は勘弁だな……。」
「無事に終わって良かったです!お疲れ様でした。」

突然リズミカルな音楽がテレビから流れてきた。どうやらマフィティフくんがリモコンを踏んだらしい。料理番組が始まったばかりのようで、テレビの中のお姉さんが美味しいサンドイッチのレシピを紹介している。

「ふわぁ…。」

無意識に欠伸が出る。ペパー先輩と一緒に居ると楽しくて疲れも吹っ飛んでしまうけど、そういえば私も昨日ジニア先生のお手伝いで身体が悲鳴を上げるぐらい働いたんだった。五分だけ眠ろうと、椅子に座ったまま目を閉じた。


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