さようなら

私の上に跨ったnameは下着しか身につけていなかった。いつもは一つに結んでいる髪はおろされ、私を見下ろす彼女の顔に影を落としていた。
紅潮した頬も微かに充血した瞳も、薄く開いた唇から覗く厚ぼったく濡れた舌も、全てが私を煽る要素であるということに一体彼女は気付いているのだろうか。
よし今日は飲むぞと意気込むnameにそれならばと、面白がってつい強い酒を飲ませた私にも非はあるのだが、口移しで飲ませる酒の美味さについつい楽しくなってしまったのだから仕方が無い。
恥ずかしがって逃げようとするnameを捕まえて顔を寄せることは、私の密かな楽しみなのだ。
次第に呂律が回らなくなり視点が定まらなくなったnameはベッドに寝そべっていた私の元へやってくると、覚束ない所作でベッドに上がり私を跨いだのだった。
さてここから何をしてくれるのだろうとゆるく口角を上げる私であったが、予想外にもnameが私の額を平手で叩いたので流石に飲ませすぎたかと反省するも、伸びてきた両手に襟元を掴まれて「何がおかしいんですか?ねえ?」と凄まれてしまい真面目な顔をする他はなくなった。
実際には呂律が回っておらず「らにがおかしいんれしゅか?」としか聞こえず何の迫力もなかったため、むしろ可愛さのあまり抱きしめたくなっていたのだが。
両手を上げて降参のポーズをとると、虚ろな瞳で見つめられ唇にかぶり付かれる。
重たいアルコールの混じった吐息に、別の意味で頭がクラクラとした。
服を着ているとあまり目立たない胸は、露わになるとその豊かさに驚かされる。
寄せられた谷間をじっと見ていると、おもむろに顔の上に乳房が乗せられた。
柔らかな息苦しさを感じながら、積極的なnameの態度を面白く思う。
たまにはこういうのもいいかもしれないなと、nameの膝に股間を押されながら僅かに頬が緩んでしまうのだった。
鼻先と唇をうまく使って下着をずらし、現れた突起をちろりと舐める。
既にゆるく尖っている乳首は歯を立てれば面白いように硬くなる。
上下の唇と歯、そして舌先で弄べば先ほどまでの威勢は何処へやら、私の頭を抱えながら必死になって快感に耐えるnameの姿があった。
脚で私の太腿を挟んでゆるゆるとすりつけているのは無意識なだろうが、溶けた理性の中から現れた本能がその先にある刺激を欲しているのは明らかだった。
細いnameの腰を抱え、柔肌に吸い付いて痕をつける。
赤紫に浮いた痣は彼女の白い肌によく映えていた。

「あ、や…ぁっ、」

「どうした?私の上に跨ったからには何かいいことをしてくれるんではないのか」

「噛んじゃ、やっ…ぁ」

「どこを噛むのが、駄目なんだ?」

柔らかな乳房に手を伸ばしながら口に含んでいた乳首を吸い上げれば、余裕なく発せられた悲鳴が耳に心地いい。
上半身を起こしnameの身体に腕を回しながらズボンの中で窮屈になっている性器を取り出す間、nameは私の身体にくったりと体重を預けている。
結局こうなってしまうのかと少し残念に思いながらも、一瞬でも私を攻めようと上から見下ろすnameの瞳が見れたのだからまあいいかと思うことにした。
胸板に触れる自分とは全く違う女の柔らかさに、意地悪をするよりもただ抱きしめてとことん甘やかしてやりたい気持ちにもなるけれど、悲しいかな今回もそうはしてやれそうもない。
nameの細腰を掴み尻の割れ目に性器を滑らせると、熱を感じたnameの目が見開かれる。
下腹部にあてられた彼女の脚の付け根は、下着越しにも湿っているのがわかるほど濡れていた。
初心な顔をしてこれなのだからたまらない。
自分で脱いでご覧と促せば、いつもであれば恥ずかしがって自分からなど脱がないくせに、酒が入っているせいで理性を失っているのかnameは素直に下着に手を掛けた。
足首に引っかかっている丸まったショーツをベッドの外に投げ捨ててやれば、強請るような視線で見上げられる。
焦らしている暇はなさそうだが、それでも準備は十二分にできているだろう。
なだらかな双丘を両手で掴み腰を浮かせてやる。

「name、脚を」

視線で脚を左右に開けと指示してやれば、これもまた微かな恥じらいはあるものの素直に脚を開くのだった。
後ろ手をつき露わになった秘部はたっぷりと濡れ、内腿までもが淫猥に光っていた。
うまく力がいれられないだろうと身体を持ち上げてやるも、nameは背後についていた手を私の首に回すと自らの膝で身体を支えてペニスを割れ目に導こうとする。
手を貸そうかと思ったもののnameの姿があまりにも健気で、早く挿入したい気持ちをなんとか抑え様子を見守る。

「える、び…っ、」

「いいぞ」

先端をあてがい挿入直前で動作を止めたnameに、挿れてもいいかと許可を得るような視線を送られる。
こんな時でも失われない彼女らしさに、たまらず頭を撫でてキスをした。
唇が付かず離れずの距離を保ったまま、nameは腰をゆっくりとおろしてゆく。
徐々に飲み込まれてゆくペニスを包む膣壁は熱くうねっていた。
唇を結んで耐えていたname。
しかし全てを身体に収め最奥を突かれた快感に、思わずあられもない喘ぎ声を綻んだ唇から零す。

「ん…、ぅ」

慣らしたいのか、はたまた動く気力もなくしてしまったのか、nameは私に身体を預けたまま荒い呼吸を繰り返すだけだった。
上下する肩や浮き出した肩甲骨を撫でるたびに、咥え込んだ入り口がきゅうきゅうと私を締め付ける。
このまま動かずにいれば二人の境目が消えてしまうのではないかと錯覚してしまうほどだった。
は、と溜息にも似た吐息を吐き出して天井を仰ぐと、それを合図にしたかのようにnameが腰を上下し始める。
ん、ん、と腰が降りるたびに出る控えめな喘ぎ声がやけに色っぽく響いて私を煽る。

「name、」

「……?」

どうしようもなくなって名前を呼べば、涙でいっぱいになった無垢な瞳が私を見上げる。
ほんのりと朱に染まった眦にキスをすれば、瞑った瞼の端からぽろりと涙が一粒転がり落ちた。
じっと瞳を覗き込むと、そこには思ったよりも余裕のない自分の顔が映っていた。
鼻先を触れ合わせながら唇を合わせる。
ゆっくりと啄ばみながら次第に深く口を割ると、汗ばんだ身体がすり寄ってきた。
折れそうなほどに抱きしめて、抑えきれなくなった衝動のまま腰を突き上げる。
口の中に響く甘い声に、身体の中から溶かされていくようだった。
酔っているせいかいつもより感じやすくなっている身体は熱く火照っていた。
突き上げては己の体重で深く沈むnameは、腰を弓なりにさせて喉を鳴らす。
奥からとめどなく流れ出る愛液に、結合部が冷たく濡れていた。
向き合いながら揺れる身体。
乳房が上下するたびに先端が擦れることすら快感で、nameの震える嬌声は徐々に大きくなってゆく。
いつもこれぐらい声を聞かせてくれればいいのだがと、唇から滴りそうになっている唾液を吸いながら鼓膜を揺らすnameの声をじっくりと味わった。

「ん、っ、えるび…もっと…ねぇ、っ」

ぐりぐりと額を肩口に擦り寄せながら私を欲しがるname。
今までに見たこともないような可愛らしい痴態に、腰の奥が熱く疼いた。

「わかったわかった、そんなにされたら壊れるまで抱き潰してしまいそうだ」

「いい、よ…だから、」

ちょうだい。
nameの長い睫毛が上下する。
鎖骨の辺りを甘噛みされて肌が粟立つ。

「酔いが覚めても、私を責めるなよ?」

「ん、ぁっ」

こくんと頷くも、もはや思考は働いてなどいないだろう。
自分の腕の中で大いに乱れてくれそうなnameの姿に、早々にも射精してしまいそうだった。
薄い耳朶を舐め、慎重に腰を使う私の焦りなど意に介さないnameは、足りない足りないと強請るように膣をきつく締める。
今晩はとことん愉しまねばと思いながら、とめどない射精感に腰を震わせてしまうのだった。

(140910)
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