仁王が帰った後の暗闇の中で、柳生は一人考えていた。ベッドに寝転んで見る天井は、ただただ白い。 あの時心苦しくなったのは何故だろう。今思えば切ない感情も混ざっていた。それがどこから来たものなのか、分からない。 「仁王君……」 柳生がイった後、仁王はいつも抱きしめてくれる。しかしすぐに一人でに消え、しばらくしたら戻ってくる。そして改めて抱きしめてくれるのだ。 消えた後に仁王が何をしているのかは、さすがに分かる。 「……」 数時間前まで仁王に弄ばれていたそこに、そっと触れてみる。入り口をくすぐるように何度か指を這わせると、もどかしい感覚が柳生を襲った。 そのまま中へと導いてみれば、僅かに兆し始める自分自身。 「ぁ……んっ」 心苦しい感情。 切ない思い。 それがどこから来ているのかなんて、本当は分かっている。ただ言い出せない。自分からは恥ずかしくて、とてもではないが。 しかし仁王からは絶対に誘わない事も、柳生は分かっている。柳生自ら言わない限り、仁王は絶対に口にしない。仁王は待っているのだ。柳生が心を決める時を。 「ぁっ、……あぁっ!!」 とっさに声を噛み殺すと同時に、果ててしまった。自分の弱い場所は仁王に教えられたから、そこさえ探り当てれば後は簡単。仁王の指の動きと声音、肌のぬくもりと息遣いを思い出せば、すぐにでも。 「仁王君……っ」 荒い息を整えながら思ったのは、仁王の事。自分を見つめる優しい微笑み。 せっかくのバレンタインなのに、それらしい事を何もしていない。仁王を気持ち良くする事すらできなかった。 そういえば柳に貰った物がある。仁王との雰囲気に流されてすっかり忘れていたが、もしかしたらアレは使えるかもしれない。 きっかけ。とにかくきっかけが必要だ。きっかけを掴んで……アレを使ってみよう。 そう心に決めながら、柳生は夢の中に落ちていった。 …to be whiteday ? |