12月にもなれば吐く息も白くなる。学校帰りにデートをして、食事をして、それから誰にも邪魔される事の無い2人だけの時間が欲しくてホテルに入った。

特に何かをするつもりは無かった。が、入ってしまえばそういう雰囲気になり、やはり肌を重ねている。啄むようなキスを繰り返して柳生の理性を徐々に崩し、きっちりと着込まれた服を乱しても抵抗はされなかった。


「……っ」


首筋に唇を落として強く吸うと、柳生は息を詰める。舌先で耳元をくすぐりながら胸元に左手を滑らせると、空いた手を柳生に取られた。

構わず胸の頂を指先で弾くと、仁王と繋がった手がピクリと反応した。


「気持ち良い?」


柳生は答えない。けれど痙攣するように時折反応を示す手と抜けるような息遣いで、柳生の有り様は分かる。

それに柳生は感じやすい。もっともそれは、仁王が自分好みに少しずつ仕込んでいったせいでもある。まさか自分が調教されていたなど、柳生は知る由も無い。

耳元への愛撫はそのままに、手のひらで転がしたり弾いたりしながら遊んでいると、柳生が小さく呟いた。


「仁王君の……変態……」

「……何じゃ?」

「仁王君は、変態……です」


頬を赤らめながら、柳生は続ける。


「仁王君、私のそこ……好きですよね」

「そりゃまぁ好きぜよ。柳生が可愛い反応見せてくれるしのう……でもそういう意味ならこっちも好きじゃ」

「ぁっ、仁王君……っ!」


下肢をスラックス越しに触れれば、たちまち硬くなる柳生のそれ。感じている事を隠す事無く勃ちあがるそれが、愛おしくて堪らない。

少し上下すると、ダメ、という小さな声が聞こえた。


「何が?」

「だって……っ」

「良いぜよ、出して」


抵抗する間もなくスラックスを下着ごと脱がせてしまうと、柳生のそれを包み込む。何度か上下すれば、声を押し殺した柳生が仁王の手の中に欲を放つ。

一瞬の事だった。

荒い息をあげる柳生を横目に何気なく手のひらの白濁を舐めると、なんとなく恥ずかしかったのだろう。真っ赤になった悔しそうな顔を、柳生は背けた。

それはそれで可愛い。けれど、まだ足りない。可愛い柳生がもっと見たい。誰にも見せない、自分だけが見る事ができる柳生の姿を見ていたい。

仁王は柳生の腰の下に枕を添えて脚を割り開くと、隠れていたそこに白濁を塗りつけた。


「……ぁっ」


ヒクヒクとそこが、仁王を誘う。指を押し進めれば、柳生の中は仁王を暖かく迎え入れた。

何度か抽挿を繰り返して指を折り曲げると、良いところに当たったのだろう。柳生は僅かに鳴いて、仁王の指をギュッと締め付ける。


「柳生、ちゃんとプレゼントつけとるのう」


柳生の胸元で光るのは、仁王が柳生の誕生日に贈ったプレゼント。僅かなライトを受けて、控えめな金色のラインが輝く。


「……んぁぁっ」

「やっぱりソレにして正解じゃな。俺と同じじゃが何より……」

「っ、ぁっ、ぁんっ」

「似合っとるぜよ、やーぎゅ」

「……ぁっ、ぁっ、仁王君っ!」

「ん?」

「嫌です、そこ……ぅぁっ、ぁんっ」

「“気持ち良い”の間違いじゃろ?」


再び限界が近付いているのだろう。唇を噛み締める姿が、妙にそそられる。

我慢させるのも良いが、柳生の可愛い姿は十分見れた。

終わらせようと最奥を抉るようにすると、一際高い声で鳴く。しかし柳生がイく事はなく、正面から仁王を見つめて懸命に首を振っていた。


「……ぁっ、うっ」

「そろそろ辛いじゃろ?」

「ん……んっ」

「やーぎゅ?」


刹那。


「仁王……君……っ」


柳生が仁王を抱きしめた。首に腕を絡ませて、荒い息のまま仁王の耳元に唇を寄せる。


「仁王君を、ください……!」

仁王は自分の心臓が高鳴るのを感じた。たった一言だけを告げて耳元にキスをする柳生の胸の鼓動も、徐々に速くなる。

それはずっと待っていた言葉。


一年間、待ち続けた言葉。



「……いいんか?」



ゆっくりと頷く柳生のそこに、自らをあてがう。何度か滑らせて、仁王は固く閉ざされたそこを一気に貫いた。ただ十分に慣らしていたせいか、柳生のそこは簡単に仁王を受け入れた。

扇情的な声音を聞きながら、仁王は柳生を揺らす。本当はゴムもローションも用意していたのに、そんな事を考える余裕など、今の仁王には無かった。ただ目の前の柳生が、自分に全てを委ねてくれた柳生が愛おしくて、一心に貪る。

ようやく全てを手に入れた。


「ぁっ、ぁっ、ぁんっ」

「柳生……っ」


二人が達するのに、そう時間はかからなかった。しかし時間ではない確かな充実感が、二人を満たしていた。









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