予想通り、日付が変わった直後にケータイが鳴った。内容も差出人も分かりきったそれを、“彼”がどんなに楽しみにしていた事か。 from 仁王君 sub 無題 誕生日おめでとうさん。 仁王君は柳生さんを愛してるぜよ〜 メールを開くだけでドキドキするというのに、その言葉は彼──柳生の胸を更に高鳴らせる。 本当に仁王は、心臓に悪い。 きっとこうなる事が分かった上でやっている。仁王はいつだってそうだ。 だけど喜んでいる自分がいるのも事実。だって誕生日が近いというのにその話題には一切触れず、未だに予定すら入っていないのだから。柳生は仁王君のためにその日は部活以外、空けているというのに。 「これでは私の方が期待しているみたいですね……」 苦笑しながらメールを返すと、すぐに仁王から返事がきた。 それから何度かやり取りをして、柳生はベッドに潜る。 16歳の柳生の最初の一日は、仁王の事を思いながら始まったのだ。 |