「……っ、ふっ、あ……くっ」

息を整える間もなく漏れる声音は、艶っぽく悩ましい。

彼がこんな風に声を漏らすのは珍しい。けれど嬉しくもあり、同時に1つの事を確信する。

仁王に跨がって、仁王を中に感じながら、柳生は腰を揺らす。

ふと目が合うと、自分の中で昂る仁王を思い出して再び締め付けてしまう。その度に仁王が少し苦しげに、しかし恍惚とした表情で息を漏らすから、柳生はやめられない。

仁王に気持ちよくなってほしくて、自分を感じてほしくて、また彼自身を強く締め付ける。

最奥に熱が広がるのを感じたと同時に、柳生自身も白濁をこぼした。



※ ※ ※



「だるいぜよ、やーぎゅ」
「私の誕生日だから好きにしていいと言ったのは君ですよ、仁王君。まぁ……あんなに感じてくれるとは思いませんでしたが」
「……っ」

いつもは仁王に、声が枯れるほどに鳴かされる。散々弄ばれて、気持ちよくされて、ようやく開放された頃にぐったりしているのは柳生だ。

けれど今日は違う。立場は変わらないが、仁王を散々喘がせてやった。

「可愛かったですよ、仁王君」
「うるせー……」
「君もあんな声が出せるんですね」
「今後お前の好きにはさせんぜよ」
「そうですね、私を満足させてくれるのなら……構いませんよ」
「もう俺の息子は使い物にならん」
「今日はたくさんしましたからね」
「お前、意外と絶倫……」
「それはどうでしょう? あぁ、でも……」

眼鏡を人差し指であげて、仁王を見やる。ぐったりとして疲れを露にする彼に微笑んで、柳生は言った。

「やはり私のは名器ですね、仁王君」







*10/20 02:16
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