フジイさん
クロコダイルが久しぶりに帰ってきた。1番に私に会いにきてくれた。嬉しい、すごく嬉しい。だけど、私は今とても困っている。
「近い」
「あ?」
「だから、近いって」
鼻と鼻がくっついちゃうくらいの距離に、クロコダイルの顔がある。私の視界はクロコダイルでいっぱいだ。幸せ、だけどそんな、いきなり。いや、いきなりってわけでもないけど、その、何か。
「こんな状況で考え事か?」
「ちが、」
「違わねえだろうが」
まだクロコダイルは私に触れない。触れるか触れないかの中途半端な感じ。首筋にクロコダイルの唇がある、触れてはいないけど私はそのあたたかさと形を知っているから、恥ずかしくなる。
「クロコダイル、」
「黙れ」
私はこんなに弱々しい声が出せるものなのか、今更気づいた。私はこんなに女らしい女だったのか、昔は自分を女らしいだなんて1度も思ったことなかったのに。彼の前だと、私は私で居られない。きっと貴方と一緒に居る時の私は、私であって私じゃない。だけど、それは絶対に私以外のものなんかじゃない。きっと、私はクロコダイルの前では女らしい女で居たいのだろう。
「俺が居ない夜は、長かったか?」
「砂漠の夜は長いものよ」
「素直になれ」
「素直にって、何が?」
「素直になれたら、お前が望むことをしてやる」
素直に、なんて私に言うけど本当に寂しかったのはクロコダイルなんじゃないの?なんて言ったら貴方はきっと乱暴にキスをする。それは、ちょっと嫌。
私が不本意ながらに寂しかったと言ったら、きっと貴方は優しいキスをする。さあ、困った困った。乱暴なのも悪くない、なんて考えたのは間違いなく私自身。呆れちゃう。
「また考え事か?」
「そんなとこ」
7秒後、貴方は乱暴にキスしてくれた。
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フジイさん企画参加ありがとうございますっ。
クロコダイルさんで迫って困らせたい感じ、とのことでしたので私の文では伝わらないかもしれませんが、クロコダイルさんを迫らせてみました。気に入っていただけると嬉しいです。
図々しくなんかないですよ、リクエストしていただけてすごく嬉しいです!私もフジイさんの文大好きです、どきどきです。
はい、これからもお互い頑張りましょう!
ではでは、企画参加本当にありがとうございました!
2011/03/08.