青鈍さん
よく漫画とか、小説とかドラマなんかでみかける先生と生徒の禁断の恋って本当にあるのかな。人間は実際にないものを作り出したがるのだ、と何かで聞いたような読んだような。それにまず先生が生徒をそういう目で見るって、どうなの。え、正直気持ち悪いでしょ。下手すりゃ自分のお父さんより上の人とか居るし、無理無理。逆に生徒は生徒で毎日山のように課題を押し付けてきて、スカートが短いだ髪が茶色いだと文句ばかり垂れる先生をよくそういう目で見れるな。あれか、先生に気に入られてるいわゆるいい子ってやつか。可愛い顔して、大人しそうな顔してまあよくやるわ。それかマゾだ。鬼畜教師大好きもっといじめて先生、なんつって。
「私は優しい男が好きだよ先生」
「何の話じゃ」
「知らないよ」
「プリントは終わったんか?」
先生が向かいの席から私のプリントをのぞく。
「はかどっては、おらんようじゃの」
「私にもそう見えます先生」
私はちっとも楽しくなんかないのに先生がわっはっはって笑い出すもんだからちょっと腹が立って机の下で足を蹴ってやった。ざまあみろ。
「×××は怖いのう」
「怖くて結構です、私先生嫌いなんで」
「そこまではっきり言わんでも、」
先生に嫌いと伝えたのは何度目だろう。私は最初から先生が嫌いだった。何を言われてもいつもにこにこしてるし、言葉が無駄に優し過ぎる。スカートが短いのも「見逃すのは今日だけじゃぞ」って言っていつでもお咎めなし。課題を忘れても絶対に怒らない。居残りはさせられるけど。まだ若いはずなのにお年寄りみたいな喋り方だし、鼻、長いし。何だかその全部が全部私の知ってるセンセイってやつとは違い過ぎて、どう接したらいいのか分からなくて。私の頭を無駄に回転させて貴重な時間を私から奪う。そんな先生が、嫌いだ。
「のう、×××」
「はい」
「先生と生徒の禁断の恋、本当にあると思うか?」
「ないと思います、個人的に」
「わしもそう思う、珍しく気が合ったの」
「そうですね、先生」
先生は机に肘をついて、私との距離を狭めた。ぱっちりとした先生の目と、ばっちりと目が合う。
「のう、×××」
「何ですか、先生」
先生と生徒の禁断の恋なんて、そんなものない。気持ち悪いし、理解出来ないし、意味わかんないし。
じゃあ、いったいどうして。どうして、私と先生の影はつながってるんだろう。ありえない。
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青鈍さん、企画参加ありがとうございます!
お任せの学園or現代パロということでしたので、カクさんで書いてみました。気に入っていただければ幸いです。
いえ、私こそこっそり張り返しさせていただいてましてご挨拶もせずに。ストーキング行為とかウェルカムですよ!私もしてますのでお気になさらず。
ではでは、企画参加本当にありがとうございました!
2011/03/04.