華月さん



「×××、」
「お帰りなさい」
「今日は顔色がいいな」
「うん、今日はいつもより気分がいいの」


私は他の人に比べてあまり体が強くないらしい。病弱、とまではいかなくても体調を崩しやすいのは確か。だから私はあんまり外に出してもらえない。そのせいでアーロンと居られる時間も、あまり長くはない。だけど、アーロンは仕事が忙しいんだってハチが言ってたから私は我慢するの。
平気よ、全然平気。


「ベッドの上で1日過ごすのは退屈だろ?」
「ちょっとね、でも」
「何だ」
「アーロンが会いに来てくれるこの瞬間がすごく好きだから、退屈なんて忘れちゃうの」
「そうか」
「うん」


アーロンの大きい体がベッドに腰掛ける。私もその隣にくっついてみる。床に触れた素足から体が震えて、それがアーロンにも伝わった。


「お前はまた、そうやっていつも風邪ひいてんだろうが」
「だって直接アーロンに触れたいんだもん」
「黙って寝てろ」
「もしかして照れてる?」
「うるせえ」


無理矢理体をベッドに戻されて、終いにはアーロンの大きな手で口元を押さえられた。声は出せないから口の中でふふふって笑うとアーロンも諦めたようにちょっと笑った。
アーロンの手を軽く叩くとすぐに呼吸が楽になった。別に自惚れてるわけじゃないけど、私を見るアーロンの目がすごく私を愛しく思ってくれているように見えて、何だかすごく申し訳なくなった。


「ね、アーロン」
「何だ」
「ごめんね」


いきなり私が謝るもんだから、アーロンは不思議そうに私を見る。声色だけはしんみりしてるのに、私の口元が吊り上がっているせいなのかもしれない。まさにちぐはぐ。


「何に対して謝ってんだ、お前は」
「アーロンに心配かけてばっかのこと」
「じゃあ、何に対して笑ってんだ」
「アーロンが私を心配してくれることが嬉しくて」


伏せていた目を持ち上げてアーロンを見てみるて、呆れたように笑う顔が視界いっぱいに広がる。お前の目が俺の肌の色に染まるのが好きだ、って昔アーロンが言ってたなってちょっと思い出した。


「お前の言ってることは、たまに理解できねえ」
「簡単だよ、私はいつもアーロンに好きって言ってるだけだもん」


私がアーロンに伝える言葉はどんな形でもいつも「好き」って意味なの。ね、簡単でしょ?


「やっぱり理解できねえな」
「また照れてる?」


今度は手じゃないもので、口をふさがれた。










―――――
華月さん、今回も企画参加ありがとうございます!
アーロンさんで甘めということでしたが、いかがでしたでしょうか?気に入っていただけたら嬉しいです。
はい、応援ありがとうございます!これからも頑張ります!
ではでは、企画参加本当にありがとうございました!

2011/02/26.






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