ハナさん



「ねえ、アーロン…誰にも絶対負けないこと、ある?」
「例えば?」
「んー、力だけは誰にも負けない、とか」
「そうだな、」

手に持っていた本を閉じながらアーロンは左斜め下を見る。何をしていても、それをやめて私の話を聞いてくれる。例えそれが大事なビジネスとやらの話でも、アーロンは私を優先してくれる。「仕事と私どっちが大事?」って聞いたらアーロンは絶対に私を選んでくれる。それが嬉しくて嬉しくて、私は毎日くだらない話をしてこうして構ってもらってる。

「それなら◎◎、お前だ」
「私?」
「お前とこうして一緒に居られる幸せは、誰にも負けねェってことだ」

まさか、そう来るとは思ってなかった。アーロンのことだから、それこそ力とかそんなことを言うと思ってた。なのにアーロンが急にアーロンらしくないこと言うから、本当に顔が熱い。らしくないなんて言い方は良くないかもしれないけど、でもやっぱりらしくないとしか言いようがない。

「そっか、そっか」
「どうした、意外だったか?」
「うん、いや…うん」
「そうか」

人間のそれとは比べものにならないくらい大きなアーロンの手が頭を撫でてくれた。笑いを堪えてるところを見ると、多分私の顔は赤っぽいんだ。ああ、もう。

「分かってて言ったんでしょ?」
「さあ、何のことだかな」
「私だって、アーロンのそばに居られる幸せは…誰にも、負けないよ」
「そうか、それは良かった」

得意げに笑うアーロンを見てるとちょっと悔しいけどでも、頭を撫でてくれる手がすごく優しいから、許してあげよう、なんて。

「もうさあ、世界で1番好きだよアーロン」
「珍しく素直だな」
「何か急に言いたくなったの」
「毎日でも言ってほしいな」
「それは無理」

アーロンの胸をたたく為に持ち上げた腕は大きな手につかまれて、そのまま軽く引かれてアーロンの胸にぴたりとくっついた。

「アーロンさん、ちょっといいか?」

ちょうどそこに、申し訳なさそうな顔をしたチュウが入ってきた。

「チュウ、後にしてくれ」
「チュウ、私出てくから今でいいよ」
「◎◎、」
「たまにはチュウ達のことも考えてあげなきゃ」
「◎◎悪いな、チュッ」

アーロンの胸に唇を押し付けて、急いで部屋を出た。後でチュウにからかわれるな、なんて思ったら意外と嫌じゃなくておかしくなった。










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ハナさん企画参加ありがとうございます!アーロンさんで甘々ということでしたが、ちゃんと甘々になっていましたでしょうか?ハナさんの好きなアーロンさんになっていたでしょうか?
もっともっとアーロンさんを好きになってもらえたら私も嬉しいです!
ではでは、素敵なリクエスト、企画参加本当にありがとうございました!

2010/12/20.






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