華月さん



「アーロンさーん」

色んな部屋を覗いて呼んでみるけど、アーロンさんはどこにも居ない。どこかに出かけるとも言ってなかったし、おかしいなあ。

「アーロンさーん」

いくつめか分からないドアを開けたそこにはチュウが居た。探してるのはチュウじゃ、ないんだけどな。

「アーロンさんじゃなくて悪かったな、チュッ」
「べ、別に何も言ってないよ!」
「表情に出てるんだよ、お前は」

おでこをとん、と突かれた。
チュウは軽くやったつもりかもしれないけど、ちょっと痛かったよばか。

「アーロンさんならさっき、いや…何でもねェ」
「どこに居るか知ってるの?教えて教えて!」
「いや、アーロンさんは…モームのとこに居た気が」

目を合わせてくれないチュウの反応から、アーロンさんがどこに居るのか分かった。嘘つくならもっとうまくついてよね、私に見破られてるようじゃだめだめだよ。

「そっか、アーロンさんはナミのとこかあ」
「あー、まあな、チュッ」
「アーロンさんは…やっぱり頭がいいナミのが好きなのかな」
「それは…おれからは何も言えねェよ」
「私って子供だし、頭よくないからなあ」
「そんなことねェよ」

喋り方が子供っぽいって、この間クロオビにも言われたんだよね。
やっぱり、1歳でも2歳でも違いって大きいよね。なんて言おうとしたらアーロンさんが何ともステキなタイミングで部屋に入ってきた。今ばっかりはあんまり会いたくなかったなって思ったのに、やっぱりすごく会いたくて、もう分かんないや。

「◎◎、どうした?」
「…アーロンさん」

指先でお腹に触れて、そのまま腕を回してぎゅっと抱き着いた。

「◎◎?」
「私、よりナミのが…好き?」
「どうしたんだいきなり」
「だって、ナミは頭いいし、大人っぽいし、最近ナミとばっかり一緒に居る、し」

こんなことを言ってアーロンさんを困らせるのが得意な私は、やっぱりナミとは違う。

「不安にさせて、悪かったな」
「………」
「確かにナミは頭のいい女だ」
「……うん」
「話も分かるし、最近は海賊らしくもなってきた」

何度も自分とナミを比較して、分かったつもりでいたけど直接アーロンさんに言われると苦しい。のどの奥がぎゅって、なった。

「比べてお前はすぐ泣くし、騒ぐし、海賊らしくなんかねェ」
「ごめんなさい、ごめんなさい、アーロンさんっ」
「面倒なのは好きじゃねェんだが、」
「アーロン、さん」
「お前は別だ、◎◎」

涙が、止まった。目尻に溜まったやつだけが1つ落ちた。

「ただの人間のガキでしかねェ、お前がいいんだよ」

いつもみたいに、にやって笑ったアーロンさんにまたぎゅっと抱き着いた。
アーロンさんの手が、優しく頭をなでてくれた。









―――――
華月さん、企画参加ありがとうございました!幼めヒロインということでしたが、幼くなっていたでしょうか?アーロンさんとラブラブになっていたでしょうか?ご要望にお答えしきれていなかったらすみません。
ではでは、ステキなリクエスト、企画参加、ありがとうございました!

2010/12/05.






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