碧さん
アーロンさんの元で生活するようになってから、2つの季節が過ぎた。少し肌寒くなってきた最近は、誰かの体温が恋しくてたまらない。
「おい、◎◎」
「は、はいっ?」
「お前、最近おれを避けてねェか?」
「そ、そんなことないですよ!」
そんなことありますよ、ごめんなさい。誰かの体温が恋しくてたまらないのは事実。だけど、相手がアーロンさんになるとダメなんだ。息が苦しくなって、涙が溢れる。耳がすごく熱くて、胸のあたりが痛くなる。だから、何となく最近はアーロンさんと居たくない。
「もうここに居るのは、嫌か」
「違う!それだけは、違い、ます」
途中で恥ずかしくなって、最後のほうは声すら出ていなかったかもしれない。
「なら、いいんだ」
「アーロンさん」
「おれが嫌いなら嫌いでも構わねェ、けどお前の笑った顔だけは失いたくねェ」
「………」
「情けねェ、だろ」
こんなに弱々しいアーロンさんは初めてだった。私は、強いアーロンさんしか見たことなかったから。今思えば、強いアーロンさんじゃなくて、強がってるアーロンさんだったのかもしれない。私の前だからって、常に強くあろうとしてくれていたのかもしれない。そう思ったら、嬉しいやら苦しいやらで、全然泣きたくなんかないのに、アーロンさんに迷惑なんかかけたくないのに、涙が溢れた。
「アーロンさん、私、アーロンさんのこと嫌いなんかじゃないっ」
「◎◎…」
「私、アーロンさんと居てアーロンさんがすごく優しくてすごく強いって分かりました」
「………」
「だから、アーロンさんのこと嫌いになる理由なんてありませんっ」
初めて、ちゃんとアーロンさんに触れた。思いの外その手はあったかくて、見た目からの印象とは全然違くて、ほっとした。
「私、アーロンさんの、アーロンの…近くに居たい」
ここに来たばかりの私が今のこんな私を見たらどう思うだろう。もしかしたら殴られるかもしれない。でも、それでもいい。
「ああ、そうしてくれ」
「うんっ」
彼の呼び方が"アーロンさん"から"アーロン"に変わった。
―――――
碧さん、企画参加ありがとうございます!
"いつの間にか貴方を"の続編ということで、書かせていただきましたっ。いかがでしたでしょうか?今回はちょっと弱いアーロンさんにしてみました。私の勝手な意見ではありますが、弱いアーロンさんが思いの外可愛かったですっ。←
碧さんにも気に入っていただけましたら嬉しいです!
ではでは、改めて素敵なリクエスト、企画参加本当にありがとうございました!
2011/01/01.