たかさん
「エネル、やめて」
「私がやることにいちいち口出しするな」
「やめなさい」
彼は、まるで子供だ。それもとびきり面倒な。悪いことを悪いとは思っていないし、注意すればすぐに拗ねる。生活は不規則だし、本当に我が儘だし。まさに神様そのものだ。悪い意味で。
「いい加減にしないと、私出てくから」
「◎◎、」
「何?」
「………」
「何?」
「………」
そしてここからが更に面倒だ。彼はなかなか謝らない。人に謝るのがとにかく嫌いだから。例えそれが、コイビトでも。
「用がないなら、私行くから」
別に行くとこなんてない。行くとこなんてどこでもいい。生きていければ、こんな神の社みたいなとこじゃなくていい。木の下とか、洞窟とか、とにかくどこでもいい。エネルの目の前のりんごを1つつかんで大股で歩いた。
「◎◎っ」
「………何?」
「………」
「何?」
「………」
呆れた。今、目の前で居なくなろうとしているのにごめんの一言が言えないなんて。彼はとことん神様らしい男だわ。
「今まで1度も言わなかったけど、私、素直な人が好きなの」
「…◎◎!」
「だから、なに、」
「すまなかった!」
「へ?」
手に持っていたりんごが落ちて、エネルの足元で止まった。りんごの近くのエネルの足は急に消えて、息が苦しくなったなと思えば彼に強く強く強く、抱きしめられてる始末だ。
「私は、お前の言うことにはどうも弱い」
「…最初から謝ってくれたらいいのに」
「…すまない」
声が小さいのは、謝りたくないからじゃなくて、本当に反省してるんじゃないかなって気がしたから私もちょっとだけ抱きしめてあげた。
「さっき素直な人が好きって言ったけど、あれ、嘘」
「そうか」
「うん、じゃなきゃエネルのそばに居ないよ、私」
「…そうだな」
今までもこれからも、こんな彼を見れるのは私だけでいい。
―――――
たかさん、企画参加ありがとうございました!
あねさん女房なヒロイン、ということでしたがいかがでしたでしょうか?初めて書かせていただいたので少し緊張しつつ、エネル様を弱らせつつ完成させました。たかさんに気に入っていただけましたら嬉しいです。
ではでは、改めて素敵なリクエスト、企画参加本当にありがとうございました!
2011/01/01.