「おい」
「・・・」
「おい!」
「・・・」
「無視することねーべー」
「なに?」
彼を見てると目が痛い。髪は緑だしピアスは金だし墨は青いし。相変わらず派手過ぎる。
「で、なに?」
「鼻毛出てる」
「死ね!」
「嘘だべさー」
こんな子供みたいなこと言って何がおもしいのかわからないけど言った本人は笑い転げるほどおもしろいらしい。ほんと幼稚すぎる。
「もーついてくるな!」
「悪かったって」
「うるさい!」
彼は元々いつも1人で居る人だった。それはきっとこの幼稚な行動と派手な見た目が原因だったんだと思う。まあ中身もたいして感心できるようなもんじゃなかったけどあの日彼に話しかけてよかっと思ってるのは変わらない。
私もどちらかと言えば周りから距離を置かれているうちの1人だったから。彼の為にとかではなく自分の寂しさを埋める為にとった行動でしかなかったけどそのおかげで今があるからよしとしたい。
「そいや昨日何で先に帰ったべさ」
「あれは、ちょっと用事があったから」
「用事?」
「ちょっと、色々」
「色々?」
「キャベンディッシュっているでしょ、何か話があるって言われてそれでちょっと」
何の反応もかえってこないからまた悪巧みでもしてるのかって少しうんざり。小さくため息を出しかけて、飲み込んだ。骨ばった手が痛いくらいに私をつかむ。
「何話した」
「それは察してよ」
「何て答えた」
「バルトロメオには関係ないでしょ」
真面目な顔が1番似合わないくせにどうしたの。
「どしたの?」
「また」
「また?」
「俺は1人になるべさ」
息が詰まった。そっか、バルトロメオもずっとずっとずっとずっと。
寂しかったんだね。
「大丈夫だよ」
大丈夫だよ。私の寂しさを埋めてくれたのはバルトロメオだけだしこれから埋めてくれるのも他の人じゃきっと無理だから。
「ずっと一緒にいよ」
(嫌われ者だからこそ愛しい)
20151211.