私の上司は、いわゆる仕事に生きる男というやつだ。そんな真っ直ぐなところが何となく好きになって、私から思いを伝えたのが3年前。その時はまだ、とりあえず付き合えて、それなりに幸せな毎日をおくって、その時が来たら別れて終わっちゃうんだろうな、くらいに考えてた。だけどやっぱり日に日に思いってものはつのっていくもんで、3年がたった今でも、3年前と変わらない気持ちで私の中はいっぱいいっぱいだ。


「スモーカーさん、」
「何だ」
「スモーカーさん、結婚しないんですか?」


スモーカーさんは私を見たまま固まってしまった。まあ、一応はお付き合いをしている私がいきなりこんなことを言うもんだからそりゃびっくりはするだろう。


「スモーカーさんも、そろそろいい歳ですし…いいお相手はいらっしゃらないんですか?」
「どういうつもりだ?」
「別に、その相手はお前だとか言ってほしいわけではないですよ?」
「ならどういうつもりだ?」
「単純に、気になっただけです…それじゃあ、ダメですか?」


スモーカーさんの口からはため息と一緒に白い煙があふれる。


「スモーカーさん、私はスモーカーさんがすごく好きですよ。それこそ、結婚をしてこの先ずっとスモーカーさんの隣に居られたらいいな、とも思います。だけど、結婚ってそんな簡単なものじゃないですし、結婚したら何か…よく分からないんですけど、何かがなくなっちゃうような気がするんですよね。だからスモーカーさんにたいする大切な何かを、私はなくしたくないから、スモーカーさんが他のステキな誰かと結婚をしたりするのもいいんじゃないかなって、むしろそのほうがいいんじゃないかなって思うんです」


スモーカーさんは何も言わない。


「スモーカーさん、」
「素直じゃねえのは、お互い様ってことか」
「え?」
「プロポーズ…してくれないか」
「え?」


この人は、私の言葉を理解してないんだろうか。私は、私はあれほど、あれほど。


「俺は、お前とそういう関係になってもいいと思ってる」
「だったら、スモーカーさんからしてくださいよ」
「したようなもんだろ」
「じゃあ、せーのでしましょうよ…せ、せーの」



2011/07/17.

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