「どうだ、気は変わったか?」
「全然、これっぽっちも、まったく」
「そうか」


この魚人、アーロンに気に入られてから、1つも良いことがない。家族はアーロンと普通に話す私を怖がるし、島の人達にも距離を置かれるようになった。友達も減ったし、好きだった人には嫌われた。どうして私なのか、不幸過ぎる。


「いつになったらつきまとうの、やめるの?」
「お前が頷くまでに決まってるだろ」
「そんなの、永遠って言ってるのと同じ」
「そうか」


無理矢理さらうわけでもなし、殺すでもなし。よくまあこんな男が大人しくしているもんだ、と自分でもちょっと思う。
本当ならいつ何をされても分からないくらい、こいつは危ないはずなのに。


「もし、大金をくれたらついてくって言ったらどうする?」
「金をせびるのか」
「もしの話でしょ?それに、いくら積まれてもついてきはしないから」
「そうか」
「ねえ、私に会いに来るの時間のムダだよ、ほんと」
「俺はそうは思わねえ」
「んー、何て言ったら帰ってくれるの?」
「イエスだ」


話にならないって、まさにこういうこと。


「分かった、じゃあ言い方を変える…貴方の気持ちは、すごく嬉しい、ほんと。だけど、」
「俺の子供を抱かせてくれ」
「ああ、あの…」


ほんと、どうしてこうなったんだろう。ちょっとだけ、ほんとにちょっと心臓が大きく動いた気がした。



2011/08/04.

「#学園」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -