不器用だし意地悪だし自己中だしで、まったくいいところがなかったあなただけど。私はそんなあなたが今でもやっぱり嫌いにはなれないんだ。

髪を切ったら半分怒って半分褒めてくれたよね。普段は絶対に褒めてなんかくれないあなただから、嬉しくて嬉しくてしょうがなかったんだよ。


「何で勝手に切った」
「暑かったから…それに髪切るのにベラミーの許可もらわなきゃだめなの?」
「一言ぐらいあってもいいだろ」
「…褒めて、くれないんだね」
「あ?」
「長かった時も何も言わなかったから、短いほうが好きなのかと思ってた」
「…切っちまったもんはしょうがねえ、似合ってなくもねえ」


あの日は本当に暑かったね。ベラミーのせいで余計に暑くなって、でも首筋だけは涼しかったの、今でも覚えてる。

結局あなたが私を褒めてくれたのはそれが初めてで、ついでにそれが最後だったね。まあ、単純にあなたが私の変化に気づいてなかっただけなんじゃ…って気もするけど。


「あつい」


ベラミーが見てないうちにね、また髪がこんなに長くなったよ。やっぱりこの季節になると邪魔くさい。

だけど、また勝手に切ったらあなたきっと怒るから。だから私はいつまでも髪を切れないまんま。3回目のこの季節。


「ねえ、ベラミー…髪、切ってもいい?」


土の下であなたはイエスと言っているのだろうか。



(後ろ髪を引いて)


2011/06/03.

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