私はうらむよ、あなたのこと。
「ルフィの夢は聞き飽きたから、私の夢を話してもいい?」
「私の夢はね、すっごい平凡だけど、好きな人とこの村でずーっと一緒に暮らすことなんだよね」
「好きな人ってのはさ、まあルフィなわけなんだけどね」
「別に彼女とか、奥さんになれなくてもいいの」
「あ、でもご飯は毎日作ってあげるよ、洗濯とか掃除とか」
「ルフィにとって都合のいい女になれたらそれでいいんだよね、私」
「ルフィにとって、都合のいい女になれたら…」
ルフィは馬鹿だから分かってないのかもしれないけどね、この都合のいい女っていうのは、ずっとずっと遠くで明日しぬかもしれない冒険に夢中になっているルフィをこのちっぽけな村で1人待つって意味じゃないんだよ。
ルフィのニュースが世界を駆け巡る度に嬉しくなって、でもルフィの隣に居られないことが悲しくなって。
でも馬鹿みたいに笑ってるルフィの手配書を見ると、涙も全然出なくてさ。
こんなふうに涙も流せないで1人ルフィを待つって意味でもなくてさ。
そうじゃ、なくってさ。
「ルフィの隣でずっと笑ってるよって、意味だったのにな」
私はちゃんと笑ってるよ、1人だけど、毎日ね。でも、隣にルフィが居なきゃどんなに笑ったって意味ないんだよ。
ルフィは私が居なくても意味のある笑顔をこぼすけど、私はルフィが居ないと無意味な笑顔しか、落とせないんだよ。
「あ、そういえばねルフィ」
「私、結婚するんだ」
びっくり、するかな?ルフィは笑顔でおめでとうって、言ってくれるかな?
今は、まだ無理だけど…。いつかルフィのことを、私をほったらかしてったルフィのことを許せて、ルフィの幸せ。つまり海賊王になれることを、心から願えるようになるくらいに、私も幸せになるよ。頑張って、幸せになるよ。
(あなたが海賊王になったら、私の旦那さんと、もしかしたら居るかもしれない子供と一緒に心から喜んであげるからね)
2011/05/17.