ふわふわ道中 | ナノ

 帰り道と小学生

『んー…』

私は一人の小学生を前に腕を組んで首をかしげた。目の前というか目の下?にいる彼、こと江戸川コナン君は何故か冷や汗をかきまくっている。彼とはただ帰り道ですれ違っただけなんだけど、どうも引っかかりみたいのを感じて路上で引き止めたのだ。

『ねえ、君さ』
「な、なぁに?お姉さん!」
『…前に会った…というか被写体になった事あるよね?』

言った途端、ギクリとコナン君は体を強ばらせた。うん、やっぱりこの子前にどっかで写真を撮らせてもらった事ある。一応被写体となった物、人は完璧ではないにしても覚えてはいるし…間違いない。

「そ、それはないんじゃないかなぁ?だって僕、お姉さんに会ったの、これが初めてだもん!」

無邪気にそう言うコナン君。それが私にはどうにもしっくりこなかった。どこかチグハグというか噛み合っていないというか…

『あとさ、君って』
「う、うん…」
『誰かに似てるって言われた事ない?』
「っっ!!!!」

これは私のコナン君の第一印象だったりする。コナン君を見た時、何故か少し前に出会った夕焼けの帝丹カップルの顔が浮かんだ。

「も、もう帰らなきゃ…じゃ、じゃあね!お姉さん!!」
『あ』

私の言葉に酷く動揺した彼は一歩二歩と後退りして、あっと言う間に走り去ってしまった。あーあ、何だか面白くなりそうだったのに、残念。

『さーてと』

そう掛け声をかけ、今まで腰掛けていたガードレールから飛び降りる。マイカメラを構え直して私は歩き始めた。
にしても何であのコナン少年は誰かに似ていると言っただけでそんなに動揺していたんだろ…?よく分かんないな…まあ、何にせよ、面白そうな事に変わりはない。
また彼に会うことがあれば是非追求してみたい。

私は今日も今日とて、セーラー服を翻し、カメラ片手に写真を撮り続けるのだった。マル。



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