ふわふわ道中 | ナノ

 夕焼けとカップル(?)

パシャッ。
思わずシャッターを切った。カメラから顔を離し、ふうと一息吐いた。夕焼けに染まる河川敷。なんとも絵になる。
うーん、でも何か足りない気がする。アクセントになる様な、そんな何かが欲しい。

すると向こうから男女の二人組が歩いてくるのが目に入った。

「ねー新一、聞いてる?本読みながら歩くと危ないよ?」
「おー…」

カップル…かな?
そのカップルは帝丹高校の制服を身に纏い、仲良さげに歩いている。ちなみに私は帝丹高校ではなく、米花町内の女子高だ。制服はセーラー服。だからブレザーが新鮮。そこで私の頭にキュピーンと閃いた。

「もうっ…あ、じゃあ私が空手の都大会で優勝できたら、トロピカルランドに連れてってよ!」
「おー…」
「ほんとっ!?じゃあ決まりねっ!」
「………は?何が…?」
「…聞いてないとは言わせないわよ?」
「え!?え!?ちょ、タンマタンマ!」
『あのー、そこのカップルさん達…』
「「カップルじゃないっ!」」

声をかけると、これまた仲良く振り向いたお二方。近くで見ると美男美女でおおっと声が漏れそうになった。

『あー、じゃあお二方、写真撮らせて貰ってもいーですか?後ろ姿だけでいーんで』
「………え?え?い、いいですけど…いいよね、新一」
「お、おう」
『お、簡単に許可出た。ありがとうございます』






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