絶対に勝てないネコの正体
黄色くんが言っていた、練習試合当日。
煮干しをくわえたまま、トテトテと海常に向かっている途中、前方にて顔見知り発見。
車道をリアカーで進む姿に思わず突っ込みたくなる。何故リアカー…?
まあいい、どうせ行き先は同じだろうし…とわたしはリアカーに飛び乗った。
『とう』
「っ!?!?」
「どうした…ってえぇっ!?」
『これって海常まで行きますか?』
煮干しを飲み込んで首を傾げると、緑色くんに頭を撫でられた。
「行くのだよ。それにしても…久方ぶりだな、ゆあ」
『うん、緑色くんも相変わらず変人だね』
「そっくりそのまま返してやるのだよ…」
呆れたように眼鏡を持ち上げた緑色くん。
すると、今までわたしの登場に驚いていたのか、固まっていたリアカーをこいでいた人がハッと我に帰った。
「って何普通に会話してんだよっ!?つかどっからわいた!?」
『…後ろから飛び乗らせていただきました』
「ウサギかよっ!?」
とにかく、状況把握ができたらしく、リアカーの人は前に向き直り、再びこぎ始めた。
…乗せてくれるみたい…
「ところで、さっきオマエが言ってた”絶対に勝てないネコ“ってこの子の事だろ?」
不敵に笑うリアカーをこぐ人に、緑色くんは不快そうに眉をひそめた。
さっき?と思い、緑色くんを見る。
「高尾、余計な事は言うな」
「へいへい」
知らなくて良い事らしい。ならいいか。
その後、自己紹介してもらい、リアカーの人が高尾和成と認識された。
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