並べれば良いってもんじゃない
「じゃあ今度は私ね!」
未だ携帯を手放さない相田センパイ。
音からして今度はムービーを撮ってるみたい。
わたしの右側では、
「あ!それ後で送ってください!」
と相田センパイに便乗しようとしているタッカーがいて、左側では、
「…オマエら…その辺にしとけよ…」
とうんざりした様子で笠松センパイがぼやいていた。
『んー…じゃあ“カントクセンパイ”で』
「ぶはっっ!!ゆあちゃん、ちょ!それはどっちかにしよーぜ!!」
タッカーは何故かツボに入ったみたいで笑い転げ始めた。
そんなに笑える事言ったかな?
ふと左を見ると笠松センパイも必死に笑いをこらえている様子が目に入った。…何で?
相田センパイはグッと親指を立てると得意げに言う。
「ゆあちゃん、それだとちょっと長いから緊急の時困るでしょ?だからふっつーに“リコ”って呼んで!あ、センパイってのは付けないくていーからっ!!」
「誠凛のカントクさん、理由が意味不明っすよ!!緊急の時って何!?!?マジおもしれぇ!」
相田センパイは目を爛々と輝かせこっちを見ている。…これじゃ断れない。
それに対してタッカーは笑いすぎて涙を浮かべてる。…笑いすぎ。
笠松センパイはというと何かを諦めた表情で焦げたお好み焼きの処理をしていた。
『分かりました…じゃあ“リコ”で』
「きゃあぁ!ゆあちゃん天使っ!!食べちゃいたい!」
『…美味しくない…です』
「ギャッハ!言葉のアヤだってゆあちゃん!笑いすぎて腹いてぇ…!!」
その時、笠松センパイを見ていたらピコーンと一つ思いついた。
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