呼び方は人それぞれ
「ゆあちゃんってさ、何で真ちゃんとか黒子の事髪の色で呼んでんの?」
わたしがお好み焼きを食べ終え一段落していた時、隣の高尾くんが鉄板で新たなお好み焼きを焼きながらそう聞いてきた。
わたしはパチリと一つ瞬きをする。
『えーとね…あだ名だから、かな』
「マジで!?やっぱゆあちゃんってセンス良いわー!」
「白雪、反対の手ェ出せ」
『ん』
ケラケラ笑う高尾くん。
わたしを挟んで反対側では、笠松センパイがわたしの手をおしぼりで拭ってくれている。
そして正面では、されるがままになっているわたしを相田センパイが携帯で連写していた。
「じゃあさ!オレにもあだ名つけてよ」
「私もお願い!“相田センパイ”ってなーんか他人行儀でヤなのよね」
『うーんと…じゃあ高尾くんは…“タッカー”で』
パッと思い浮かんだのをそのまま言った。
調度その時、笠松センパイは拭い終わったみたいで、
「今度からは自分でやれよ?」
と顔を覗き込みながら言って来たので素直に頷いておいた。
「“タッカー”って高尾君の“たか”から?」
相田センパイが携帯片手に聞いてくる。
それにフルフルと首を左右に振った。
『ううん、“鷹の目”から』
そう、高尾くん…じゃなくてタッカーって言ったらやっぱり一番最初に思い浮かんだのはあの能力だった。
だってあの能力、欲しいもん。
「まさかのそっちかよっ!?ゆあちゃん、ホンットサイコー!」
タッカーはまたケラケラと笑いながらわたしの頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
揺れる視界でわたしは、
『(あ、お好み焼き焦げてる)』
と思った。
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