漁夫の利は日常茶飯事
「ん?」
「お」
「ん」
『あ』
最後にと頼んだもんじゃを食べていたら、店に誠凛バスケ部のメンバーが入ってきた。
なんて言う偶然。
「黄瀬と笠松と白雪!?」
「ちっス」
「呼び捨てかオイ!!」
『どもー』
ガミガミの叫び声にちょっと耳が痛くなった。
とそこへ…
「キャー!ゆあちゃん来てたのねー!見に来る時はメールしてっていつも言ってるのにー!でもそんな自由気ままなゆあちゃんがわたしは好きよー!」
と相田センパイが飛びついてきた。
なんだか早口でよく分からなかった。
逆らわずにされるがままになっていたら、隣の黄色くんが急に腕を引っ張ってきた。
「…ゆあっちが困ってるんで離してもらえないっスかね…いくら誠凛のカントクさんだろうと、ゆあっちは渡さないっス」
「別に黄瀬くんのモノじゃないんだから、渡すもなにもないんじゃないかしら?」
バチバチと火花が散る中、わたしは腕が痛いなーなんてのんきに考えていた。
すると後ろに突然引っ張られ、二人の間から脱出成功。
こんな芸当ができるのは彼しかいない。
「大丈夫ですか、ゆあさん」
『ありがと、水色くん』
はてさて、これから波乱万丈になりそうな予感。
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