ご機嫌取りはお手の物
その後、水色くんが封じられ点差は開く一方。
そこで第2Qが終了し、10分のインターバルに入った。
と、後ろの方で聞こえた見知らぬ観客の諦め半分の声に黄色くんが眉をひそめた。
「っもー…根性見せろよ誠凛ー!!」
「見せてるよ、バカ。あんだけ力の差見せつけられて、まだギリギリでもテンションつないでんだ。むしろ褒めるぜ」
わたしも笠松センパイに同意を示す。
『同感です。このインターバルで誠凛がどれだけ持ち直せるか、対抗策が練れるかどうか…それらにかかってると思います』
「だな」
「そうっスねー…っていうか、さっきからゆあっち、センパイとオレの扱い違いすぎじゃないっスか!?!?」
黄色くんは急に突っかかってきた。
こうなった彼はこの上なくめんどくさい。
『気のせい』
「気のせいなんかじゃないって!もうオレ泣きそうっスよ…」
ほら拗ねちゃうし、めんどくさい。
笠松センパイも呆れた白い目で見ている。
…しかたない。
『…ごめん』
わたしは席を立ち、そう言って黄色くんの頭を撫でた。
すると、
「…〜〜っ!ゆあっち、ちょー可愛いっス!その首をかしげんのオレ一番好きなんスよ!その可愛さに免じて許してあげるっス!」
簡単にご機嫌は元通り。
笠松センパイはますます冷え切った目で黄色くんを見ている。
とその時、カシャンと何かを落としたような音がした。
すると聞こえてきたのは、朝でもないのに、緑色くんが頼りにしているおは朝占い。
“みずがめ座のアナタは今日はおとなしく過ごしましょう。一位のかに座のアナタは絶好調!!ラッキーアイテム狸の信楽焼を持てば、向かう所敵なし!!”…だそうだ。
…これは当たりすぎていて、むしろ怖い。
こうしてわたし達が不安を抱える中、水色くんがベンチで第3Qが始まった。
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